- 大企業は新産業の先取りに向けた革新技術を見つけ、スタートアップは大企業を足掛かりに海外進出
- メルセデス・ベンツ、P&G、ピングレなど大企業20社とスタートアップ約100社をマッチング
- 海外市場での迅速な定着に向け、海外起業支援を通じた拠点構築、30ヶ所以上の現地保育・実証
- 10年に渡る全幅的な投資で1万2000の企業保育、投資誘致は612倍に増加、1万5000の雇用創出
ソウル市は、今年の起業政策として、競争力あるスタートアップの海外進出に重点を置き、攻撃的な支援を行う。全130社以上のスタートアップの世界進出を目指す。
戦略は大きく2つ。スタートアップと大企業をマッチングさせ、共に世界進出を遂げられるよう支援するほか、海外の政府・機関との協力で韓国企業の現地定着を支援する。
まず、革新技術を有するスタートアップと、今後拡大が見込まれる産業の先取り並びに新事業への進出を目指す大手企業間の技術提携を斡旋し、両者を世界進出へと導く。これは、技術と成長の可能性を持つスタートアップの海外進出を支援する従来のやり方を、「オープンイノベーション」のやり方に進化させたもの。すでに盤石な事業基盤のある大企業とつなげることで、海外進出の近道を用意する戦略だ。
ソウル市は今年、世界的大企業約20社と共に、100社以上のスタートアップの技術事業化および海外進出に乗り出す計画だ。すでにメルセデス・ベンツやP&Gamp;などの世界的企業と協力して実施しており、今年から株式会社ピングレとの協力も開始する。
ソウル市は、2月1日(月)、株式会社ピングレとソウル起業ハブ間「スタートアップ共同掘り起こし・育成に向けた覚書」を交わす。
また、国内スタートアップが海外の現地市場によりスムーズに定着できるよう、現地政府や国際機関との協力も大幅に強化し、30社以上のスタートアップの海外進出を支援する。ソウルのスタートアップ起業エコシステムが成長するに伴い、競争力ある企業が数多く生まれている状況を鑑み、今後は現地法人化など次の段階への支援を攻撃的に推進する計画だ。
世界的スタートアップが鎬を削る海外の代表的な都市を中心に、韓国のスタートアップの定着を促すべく、現地に「起業支援拠点」を構築し、アクセラレーション、技術実証、現地法人設立などを総合的に支援する。
ソウル市は、ソウルの経済地図を変え、世界的な起業都市づくりを目指し、2011年から起業インフラや細やかなグローバル・ネットワークの構築に向け、惜しみなく投資を行ってきた。その結果、投資の誘致や技術起業、企業保育、雇用創出において目を見張るべき成果を上げている。
<起業クラスター2ヶ所→ソウル全域8ヶ所、ソウル起業ハブなど支援施設を15→44に拡大>
起業インフラについて、公共機関が移転して空いている土地や遊休地を圏域別産業拠点とし、2011年にはDMCとGバレーのわずか2ヶ所(13.5万㎡)だった起業クラスターが、2020年末現在、洪陵(ホンヌン)バイオ、良才(ヤンジェ)AI、麻谷(マコク)先端産業団地など、ソウル全域8ヶ所(27万㎡)に拡大している。技術起業エリアは10年間で2倍に広がり、企業保育・ネットワーク作り・製品化などを支援する「ソウル起業ハブ」をはじめとする起業支援施設も3倍(15→44ヶ所)に増加している。
<10年間、1万2,000社を育成して1万5,000の雇用を創出、投資誘致は612倍に増加>
こうしたインフラを基に雇用創出、投資誘致、売上増加など目に見える成果を上げた。10年間で1万2,000社を超えるスタートアップを育成し、新たに1万5,000の雇用を生み出した。
市の起業支援施設に入居する起業の投資誘致額は2020年、7,039億ウォンにまで増え、2012年比612倍も成長した。国内外の販路支援を通じた企業売上も計4兆7,000億ウォン以上を記録している。
< 年間ベンチャー投資額2兆ウォン突破、2018年から毎年5万社以上の技術起業が活発化 >
また、ソウルでは2018年から毎年5万以上の技術起業が行われるほど起業ブームが起き、年間ベンチャー投資規模も2019年、2兆ウォンを突破した。革新起業ファンドの立ち上げ・投資、テストベッド事業などを実施し、スタートアップの成長や技術開発も先んじて支援した結果だ。
米民間調査会社の「スタートアップ・ゲノム」が昨年、ソウルを世界トップ20の起業都市に選出するなど、ソウル市の積極的な起業支援政策への国内外の評価も高まっている。
ソウル市のキム・ウィスン経済政策室長は、「ソウル市は2011年から起業にこそソウル経済の未来があると考え、AIやバイオなどの新産業拠点を中心に技術起業を集中的に支援してきた。昨年はコロナ禍にもかかわらず有望なスタートアップがチャンスを先取りできるよう、スタートアップ成長促進パッケージ、技術人材人件費支援などの事業を推進するなど、積極的な起業支援政策を進めてきた」としながら、「今年は世界的にスケールアップできるよう支援を加速化する。海外の現地に起業支援拠点を設置し、世界的大企業との『オープンイノベーション』を通じたスタートアップ技術事業化支援を強化していきたい」と語った。