ソウル市は、25日(金)に開催された国際経済諮問団(SIBAC)総会において、「2014~2018ソウル観光·MICEマスタープラン」を発表した。これは、ソウルの未来を担う高付加価値の成長産業として観光・MICE産業を中心に育成するという内容で、観光客数を現在の1千万人から2千万人へと増加させるため総力を挙げるとするものである。
朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長が発表した今回のマスタープランは、「市民参加・官民協力」というソウル市政の姿勢を盛り込んでいることが特徴である。近年、団体より個人観光客が増えていることや、モバイルによる情報の需要が拡大していることなど、最新の観光トレンドを反映させている。
まず、ソウル観光マスタープランを見てみよう。観光マスタープランには、4大政策課題が挙げられている。
第1に、ソウル全域のストーリーテリング化である。これは、25の戦略拠点を集中して育成し、422の洞の物語を住民主導で発掘、その物語をストーリーテリング化することにより、外国人観光客を町の隅々まで引き込もうとするものである。これにより、2000年の歴史を持つソウルの歴史資源および歴史のダイナミックさを身近に感じられるようになる。
第2に、先端技術を活用したスマート観光情報と豊かな観光インフラである。これは、ソウルの最も得意とする分野であるIT技術を積極的に活用するもので、スマートフォンの拡張現実により、その場で周辺の観光情報をサイバーツアーとして得られるようになるものである。また、観光インフラの整備にも力が入れられ、宿泊施設や案内センターといった基本的なインフラを拡大するとともに、ヘリクルージングや熱気球体験などのほか、水陸両用車などの交通手段も利用した、個性的な観光事業にも取り組む。
第3に、観光の利便性とサービスの向上が挙げられる。第4に、高付加価値産業と連携した育成である。
これらの4大政策とともに、12の大中核事業も盛り込まれている。いくつか例を挙げれば、観光苦情処理センターの創設、ソウル型優秀観光商品認証商品の拡大、ソウル医療観光情報総合案内システムなどである。
観光苦情処理センターは、観光に関する苦情の申し込みから処理までをワンストップで行うものである。「ふっかけ被害補償制度」をはじめて導入し、観光客を守っていく。
ソウル型優秀観光商品認証商品の拡大は、個性的な旅行商品を保証するために認証制度を設けるもので、これまでばらばらに開発されてきた観光商品を、民間の旅行代理店や航空会社と共同で開発する。相乗効果を生み出す24の「五感満足観光商品」も開発する。
ソウル医療観光情報総合案内システムは、来年の初めまでに構築される予定である。これは、近年急増している医療ツアーについての情報を提供するものである。ソウル市の観光ホームページ(www.visitseoul.net)において、優れた医療機関や近隣の宿泊・ショッピング・料理などの様々な情報をパッケージで提供する。
次に、ビジネス分野における観光事業であるMICEのマスタープランを見てみよう。「ソウルMICE産業育成計画」には、5大政策課題と10大中核事業が盛り込まれた。5大政策課題には、(1)展示・コンベンション施設の拡大、(2)MICE誘致支援システムの構築、(3)MICE特化観光商品の開発などが挙げられている。
展示・会議施設のインフラを2020年まで現在の3倍に増やし、2018年までソウルの中心部(DDP+ソウル駅+都心のホテル+明洞など)を「都心型コンベンション地区」として育成する。一方、2015年からソウル市が保有する関連情報の公開(民間公開)や個性的なイベント場の開発も同時に行われ、さらに2014年には、国際会議や展示会への参加者専用の共通割引カードも導入する。これは、ソウルに滞在中、観光や交通、ショッピングに利用できるものである。
ソウル市はこれらのプランを実行することにより、現在世界11位である観光客数を2018年までに5位へ引き上げたいと考えている。また、現在5位である国際イベント開催都市ランキングを3位に引き上げるという目標を掲げている。