- デザインの公共的価値を追求する世界25か国・地域の75個のプロジェクトのうち12候補を選定
- 26日(木)、ヒューマンシティデザインアワード授賞式でパク市長参加のもと栄誉ある大賞を公開
- 大賞は体育施設と図書館デザインで都市問題を解決した南ア「ドゥヌン学習革新プロジェクト」
- Mark Wee、ユ・ヒョンジュンなどの専門家の講演と12個のプロジェクトを紹介するヒューマンシティデザインカンファレンスを続けて開催
- デザインを活用した創意的なソリューションの価値を世界に発信する世界的なアワードに
ソウル市とソウルデザイン財団(代表理事:チェ・ギョンナン)が、9月26日(木)東大門デザインプラザ(DDP)のアルリム1館で「第1回ヒューマンシティデザインアワード」の授賞式とカンファレンスを開催した。
ヒューマンシティデザインアワードは、創意的なデザインを通じて複合的な都市環境問題を解決し新しいビジョンを提示することで、人、社会、環境、自然が調和する持続可能な関係形成に貢献した都市デザインプロジェクト(デザイナーまたは団体)に贈られる賞である。イ・スンジョン運営委員長は、「ヒューマンシティデザインアワードは、造景的な変容と物質的な便益を通じて、ビジネスの成功手法に代表されるデザインの産業経済的手法を超え、人間の暮らしと社会、環境問題など公共的な価値に注目するだけでなく、見出した価値を世界と共有することを目指す画期的なアワード」としながら、従来のデザインアワードとの違いを強調した。
国内外のデザイン、コミュニティ、建築など各分野の専門家で構成された審査委員団は、4回に渡って会議を行い、世界25か国・地域から集まった75個のプロジェクトのうち、大賞候補として12個のプロジェクトを選定した。
審査基準に基づき、公信力のある手続きを経て今年の大賞に輝いたのは、南アフリカ共和国の「ドゥヌン学習革新プロジェクト(Dunoon Learning and Innovation Project)」だ。南アフリカ共和国の首都ケープタウンから20㎞離れたドゥヌン地域は、20年の間に人口が5倍以上増加したが、施設整備が追い付かず、住民たちは生活に困難を抱えていた。ドゥヌンプロジェクトは、この問題を解決するために、2013年から体育施設と図書館を建て、地域活性化の拠点として活用する内容のもの。そのために、地方政府は創意的なデザイン思考を取り入れ、住民参加を促す革新的なプロジェクトを推進した。中古のコンテナを使って体育館をつくり、公共施設の代わりに図書館に住民たちのためのコミュニティ空間を設けたのだ。体育施設と図書館を皮切りに、今後このプロジェクトは幼児開発センター、NGOの活動空間、民間事業者のための情報拠点などへと様々な形で活用される計画だ。
チャールズ・ランドリー(Charles Landry)審査委員長は、「ドゥヌンプロジェクトは地域社会の参加原則に則り、図書館を足がかりとした効果的で包括的な地域社会開発計画という点で、ヒューマンシティデザインアワードの基準を全て満たしている。本プロジェクトは明確な戦略を確立し、プロジェクトテーマを人々の日常生活に結びつけることで、地域社会を構築し強化するというところに深い感銘を受けた」と大賞選定の理由を述べた。
パク・ウォンスン市長はヒューマンシティデザインアワード授賞式で、「今年第1回目を迎えるヒューマンシティデザインアワードは、人類の共通課題である人と環境が調和した関係づくりと『持続可能な都市生態系』の創造を追求している。今後さらなる発展を遂げ、ヒューマンシティデザインアワードが持続可能な都市生態系の構築を目指す世界中のデザイナーたちの祭典になり、ソウルがヒューマンシティデザインの創造と疎通の場として記憶されることを願ってやまない」と、歓迎の辞を述べた。ドゥヌンプロジェクトのリズルクルーガー・ファウンテン(Liezel Kruger-Fountain、ケープタウン市政府空間計画環境局首席都市デザイナー)は「ドゥヌン地域の子どもたちに学びと希望を与えるための取り組みが評価され、良い結果につながったことを大変嬉しく思う。賞金はドゥヌンの貧民層援助と、次のプロジェクトである教育革新センターのために使いたい」と感想を述べた。
国連が採択した「持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030 Agenda for sustainable development)」の11番目の目標は「包括的かつ安全な、弾力的かつ持続可能な都市づくり」である。ソウル市のヒューマンシティデザインアワードもこれに足並みを揃え、持続可能な世界のヒューマンシティデザインを紹介し広めることで、暮らしに貢献し共に幸せな都市を築くことのできる世界的なアワードとして位置づけられることが期待される。
ソウルデザイン財団のチェ・ギョンナン代表理事は「ヒューマンシティデザインアワードは、人と環境が調和する関係を目指す持続可能な都市に向けたデザインアワード。今後、国際的なデザイン界で主導的な役割を果たせるようにしていきたい。今年はデザインを通じた民間協力で地域住民がより良い暮らしを営めるようにするドゥヌンプロジェクトを大賞に選定した。ソウル市とソウルデザイン財団は、このように創意的なデザイン思考を切り口に社会問題を解決する役割を広めていけるように取り組んでいきたい」と話す。
ヒューマンシティデザインアワードの授賞式に続き、26日(木)午後2時からはDDPアルリム1館にて、第2回ヒューマンシティデザインカンファレンスが開催される。デザイン分野の世界的な権威と受賞候補者たちが、ヒューマンシティデザインの経験を共有し、市民とビジョンを分かち合う場となる。1部では都市に対する新たな概念とデザインの方向性を模索する講演が行われ、2部では選定された12個のプロジェクトに関するトークセッションが予定されている。
9月25日(水)、DDPアルリム1館で開催されたヒューマンシティデザインワークショップ「2019東大門デザインシンクタンク」では、東大門地域のデザインを発展させるべく、海外の専門家と財団職員、国内外の大学生が一堂に会した。
また、市民と疎通し品格あるソウルを目指す「2019ソウルデザインウィーク」が、9月290日(金)から26日(木)までDDPにて盛況の中開催中。とりわけ今年のソウルデザインウィークは、「ヒューマンシティデザイン」をキーワードに、アワードやワークショップ、展示、カンファレンスなどの多彩なプログラムで構成された。