消費の低迷や内需不振により市民生活の困難が深まる中、ソウル市は2日(木)、中小企業および小規模事業者の経営危機克服に向けた資金供給計画を発表。さらに今回は、過去最大規模の予算を投入し、「41万人の雇用」を創出すると発表した。
ソウル市は今年、直接・間接的な雇用提供に総額2兆7千億ウォンの予算を集中的に投入し、若者から中高年、弱者層までを包括する総合的な雇用対策を推進すると明らかにした。社会・経済の停滞が長期化するとの見通しを受け、市民生活の負担を軽減し、労働市場の安定化を支援するための特別措置だ。
※ 2024年第4四半期~2025年第1四半期、企業の採用計画人数は前年同期比5.9%減少(雇用労働部)
ソウル市は市民経済の回復を加速させるため、今年上半期中に41万人の雇用のうち約80%(33万人)を早期に選定し、迅速に提供する方針。また、雇用事業の徹底的なモニタリングと実績管理を通じて、タイムリーに雇用を提供していく計画だ。
<若者就業アカデミーや魅力的な雇用で企業が求める若者人材を育成、ミスマッチ解消へ>
昨年、過去最高水準(2024年第3四半期、42万人)を記録した「若者の休職」人口の雇用ミスマッチが深刻な状況にある中、ソウル市は若者が労働市場に円滑に参入できるよう、職業能力や経験を高める政策的支援に集中する計画だ。
休職人口の割合(非経済活動人口が占める割合)
年齢層別休職人口の割合
「休職人口の割合、年齢層別休職人口の割合(出典:韓国銀行、経済活動人口調査)」
若者雇用のミスマッチを解消し、企業が求める若者人材を育成するため、「若者就業アカデミー」を通じた新産業職業訓練教育の拡充、「若者インターン職務キャンプ」や「魅力的な雇用」など、職務能力向上を目的とした職業体験提供事業を重点的に推進する。
オ・セフン(呉世勲)市長が代表的な若者雇用政策として掲げる「若者就業アカデミー」は、2021年に永登浦(ヨンドゥンポ)区・衿川(クムチョン)区のキャンパスが開設されて以降、昨年までに累計20カ所が設置された。今年はさらに5カ所を追加設置し、1自治体1キャンパス体制を完成させ、年間3,000人以上の若者IT・SW開発者を輩出する予定だ。
「若者就業アカデミー」は、過去4年間で年間教育人数が5倍に増加(2021年556人→2024年2,800人)したにもかかわらず、累計就職率75%を維持しており、今年は人工知能・ビッグデータ・クラウドなどの特化キャンパスの運営やグローバル企業との連携を強化し、国際基準に適合する中級以上の開発者を育成する機関として進化する予定だ。
AI・フィンテック・ブロックチェーンなど新成長分野の企業で経験を積み、民間企業への就職の足掛かりを提供する「魅力的な雇用」3,500人、優れた民間企業や国際機関などで実務中心の職務教育とインターンシップを経験できる「若者インターン職務キャンプ」270人分も運営される。
ソフトウェアなど人材不足の職種では「外国人留学生向け魅力的な雇用」100人分も提供し、人材不足に悩む企業を支援する。また、除隊軍人の軍服務期間を考慮して事業参加年齢を最大3年延長し、国防の義務を果たした若者が雇用事業に参加する機会を保障する。
「若者インターン職務キャンプ」では、経営、マーケティング、国際協力の3分野で4カ月間のインターンシップを実施し、就職連携率65%以上を目指して民間企業への就職を支援する計画だ。
<失業者・中高年層など就職困難層向けの職業訓練や、オーダーメイド型雇用マッチングなどの雇用セーフティネットも>
物価高・ウォン高などの経済悪化や民間雇用の長期的な減少に備え、失業者や日雇い労働者など就職困難層の生計を支援する「ソウル同行雇用」事業を今年、年間12,980名規模で推進する。
中高年の早期退職が深刻化している(2024年、55~64歳の退職平均年齢49.4歳)中、雇用状況が不安定な中高年層の就職支援も行う。中堅・中小企業の退職者500人を対象に、キャリア診断、職務実務教育、1対1コンサルティングなど、需要者ニーズに応じた統合支援を通じて転職支援や雇用マッチングを行い、再挑戦の基盤を提供する。
転職を希望する中高年200人を対象に、ソウル市50プラスキャンパスと連携した技術教育機関の特化教育課程も運営する。現場実習型体験課程に参加した後、グローバル調理、オンラインショッピングモール起業、カフェベーカリーなど、中高年に人気のある学科で職業訓練を受けることができる。
また、廃業後に再就職を希望する小規模事業者200人を対象に、ソウル市自営業支援センター、ソウル市雇用センター、技術教育院などの関連機関を連携させ、造園管理、建物修繕など就職率が高い分野の職業訓練と就職連携まで支援する。
「ソウル市雇用センター」は、専門職業相談士を活用した「出張型現場雇用相談窓口」などを通じ、弱者層の求職者にオーダーメイド型雇用サービスを提供し、カスタマイズ型の雇用マッチングを6,000人に提供する。
従来、自立準備中の若者、多文化家庭、引きこもり状態の若者など社会的弱者層の就職を支援していた雇用センターは、対象を拡大。「踏み石所得(安心所得の新名称)」支援を受けている世帯や転職を希望する小規模事業者も支援対象に含めることで、あまねく就職支援サービスを引き続き提供していく。
<ソウル型有望中小企業50社を選定・支援…働きたい求職者の就職活動を支援する「雇用博覧会」も開催>
ワークライフバランスの取れた組織文化、雇用の安定性、福利厚生が優れた「ソウル型有望中小企業」50社を今年新たに選定し、安定した雇用を提供する優良中小企業を集中的に育成する。ソウル型有望中小企業に選定された場合、ソウル在住の18~39歳以下の若者を正社員として新規採用する際、1人当たり最大1,500万ウォン、企業当たり最大3人分で計4,500万ウォンの「勤務環境改善費」を支給する。
働きたいと強く希望する求職者の就職活動を積極的に支援するため、「雇用博覧会」の活性化にも取り組む。ソウル市は今年3月6日(木)、「ソウル市4050中高年雇用博覧会」を開催し、求人企業と求職者の現場面接を実施するほか、30社の採用情報も提供する予定だ。
求職中の若者から好評を得ている面接用スーツの無料貸出事業「就職の翼サービス」も、ソウル市内12カ所の拠点で運営する。「就職の翼」サービスは、サービス開始初年の2016年には利用者4,032人だったものの、昨年は56,668人と拡大し、9年間で計32万人以上が利用した。
ソウル市経済室のチュ・ヨンテ室長は、「今年1年間、ソウル市は雇用創出、市民経済の安定など『市民生活支援』にすべての能力を集中させる計画だ」と述べ、「未来産業を牽引する若者人材を育成するとともに、困難を抱える中高年層や小規模事業者の再挑戦を支援する雇用セーフティネットを綿密に構築し、働きたい市民が誰でも働ける環境を整えていく」と語った。