- 市民のアイディアを募集する公募展を開いた結果、韓屋を現代化した「韓国の美」が47.3%の支持率を獲得…10月末にテスト設置
- 「雨天時、傘を差さなくても大丈夫」…屋根のデザインを大幅に改善、急に天気が変わっても乗降が便利
- 利便性・安全性・エネルギー効率性を強化、メディアファサードを設置して文化スペースとしての役割にも期待
- 崇礼門(スンネムン)・独立門(トンニンムン)公園・往十里(ワンシムニ)広場・旧把撥(クパバル)駅・弘大入口駅・合井(ハプチョン)駅などにテスト設置
- 来年から予算は投入せず、民間投資事業でスマートシェルターの段階別設置を拡大する予定
未来型の中央バス停が登場するのではないかと、市民から多くの関心が寄せられた 「スマートシェルター」。そのスマートシェルターのデザインと設置日程が確定された。ソウル市は、「スマートシェルター」のデザインに韓屋の優雅な曲線と軒のラインを現代風にアレンジした「韓国の美」が最終的に選定され、今年の10月末からテスト設置に乗り出す計画だと明かした。
これに先立ってソウル市は、今年6月10日から24日まで、スマートシェルターに対する市民の認識を高めて、市民の好みに合うデザインを選定するため、市民のアイディアを募集する公募展を行った。最終的に選定された「韓国の美」のデザインは、韓屋の形態と線を現代的に再解釈した外観イメージを持っており、市民投票を行った結果、47.3%の支持率を得たデザインでもある。
<物寂しい環境から四季が感じられる「都心庭園」へと…急に天気が変わっても便利に乗車・下車可能>
今後、設置されるスマートシェルターは、従来の物寂しく老朽化した環境から脱し、緑と四季が感じられる交通シェルターに生まれ変わる予定だ。横断歩道に設置されている中央分離帯のガードレールの代わりに作られた緑のネットワークや壁面に施された緑のカーテンのおかげで、バスを待ちながらも都心庭園の雰囲気を満喫できる。
特に、乗り降りする際に日常的に経験してきた不便さが一気に改善され、交通利用環境が大きく向上できると期待されている。これまでは、バス停の屋根が狭いため、雨が降る日には乗り降りするたびに傘を開いたり畳んだりする必要があった。さらに、屋根から埃が混ざった水滴が落ちて服が汚れることから、多くの市民が不便を感じていた。実際、ソウル市が行ったアンケート調査でも、多くの市民が不便を感じていると自ら訴えるなど改善を求める声が多かった。
ソウル市は、こうした市民の意見を受け入れ、屋根のデザインを改善して、カスタマイズ型の設計を完了した。最も大きい新型電気バスより高めの屋根を作り、天気や季節の変化にも十分にバスを覆うことができるよう、屋根をバスが停車する方向に60㎝延長する。
それだけでなく、太陽光パネルを設置し、環境に優しいエネルギーを直接生産するなど未来型運営にも本腰を入れる。特に、太陽光パネルを屋根の曲線面と一体化させ、高層ビルから見下ろす際の都市景観を考慮しただけでなく、未来型デザインを感じられるようにした。一体感が感じられるように、冷暖房の室外機は、シェルターの上部空間に設けるなど外には見えないようにした。
デザインの優秀性とともに、安全性も強化できるように補強する。外壁のほとんどがガラスでできている分、衝撃と風圧に強くて冷房施設の効率を向上できるよう熱輻射を遮断する効果が高い特殊な強化ガラスを取り入れた。
象徴性のある地域に設置されるスマートシェルターには、後面にメディアファサードといったディスプレイを設置して、市政情報などを宣伝する。メディアアートグラフィックを送出して、屋外デジタルギャラリーとしての効果も最大化させる。ただの交通施設や構造物にとどまらず、様々なイベントとメッセージを伝えることで、市民が楽しいと感じられる文化スペースとして生まれ変わる。
<モジュール化を導入して標準デザインを適用、設置の効率を高め…ユニバーサルデザインで交通福祉を実現>
スマートシェルターは、モジュール化のデザインといった概念を取り入れ、1つのシステムに複数の機能的構成要素(モジュール)を組み合わせることで完成できるように設計した。標準デザインを取り入れて自由にシステムにモジュールを加えたり削ったりすることができるという点は、モジュール化の最も大きい特徴で、長所とも言われる。
これを受け、現場の状況に合わせてシェルターの形態を選択でき、室内型・開放型を配分する数を調節できる。また、システムのカスタム化(Customization)ができ、空気清浄機・空気質測定器・冷暖房機・公共Wi-Fi・スマートLED・スマート情報案内機器など様々な先端の情報通信技術(ICT)を加えるなど先端のスマートサービスが強化される。
何より重要なのは、新しいスマートシェルターによってあらゆる市民が生活の利便性を享受できるよう、交通福祉を実現するという点だ。利用者が性別・年齢・障害・言語などでハードルを感じられないように設計するユニバーサルデザイン(Universal Design, 普遍設計, 普遍的な設計)を具現して、従来の交通環境の限界を乗り越え、市民の暮らしが直接的に変化できるようにする。
例えば、交通弱者の障害者が乗車待機ボタンを押すと、低床バスの到着予定時間を知らせ、運転手にもスマートシェルターに障害者が待っていると伝える。また、外国語の案内や視覚障害者向けの音声案内サービスも提供される。また、女性も安心して利用できるようにCCTVが設置され、非常ベルが警察地区隊と連携できるように進める計画だ。
<10月末からテスト設置に乗り出す…来年から予算を投入することなく、民間投資事業で施行>
入札及び契約の手続きが完了する10月末からテスト設置に乗り出す。テスト設置の候補地は計10ヵ所で、崇礼門中央バス停の1ヵ所・往十里広場・旧把撥駅2番出口・独立門公園など市街地のバス停の3ヵ所と広域バス乗り換え停留所(中央車線)の弘大入口駅の2ヵ所、合井駅の2か所だ。それに加えて、空港大路に新設されるBRT中央バス停の2か所にも推進する計画だ。このうち、早いところは12月には完了し、順次市民に開放され、1~2ヶ月のテスト運営及び安定化期間を持つと予想される。
設置候補地は、バス停の周辺現況及び利用現況などを基にして選定された。特に、地域の均衡発展・地域の拠点としての象徴性、ランドマークになれると同時に、運営上従来の市停留所の施設物の管理運営権を持っている民間会社と円滑に協議できるか否かを踏まえた結果だ。市街地の場合、スマートシェルターの設置によって市民が歩行困難にならないよう、十分にスペースを確保して工事を進める予定だ。
事業規模を見ると、スマートシェルター1個の規格は長さ15m・幅3.5m・高さ4.7mだ。それぞれの地域と規模に合わせて、室内・室外に分けて最適の形態で設置・運営される。そのため、市街地の停留所・中央車線停留所・広域バス乗り換え停留所(中央車線)の乗降人員と停車路線などを綿密に分析してモニタリングを実施した。
このうち、室内型シェルターは、新型コロナウイルスの拡散防止に向けて最低1ヵ所に制限して設置され、利用する際にもマスク着用が義務付けられる。徹底した防疫消毒作業を行うだけでなく、ホームドアの頻繁な開放・換気措置、光プラズマ空気殺菌機、体温測定器も備えて、ウイルスの予防措置及び安全な公共交通環境づくりに貢献する。
ソウル市は、来年から施行されるスマートシェルター事業には予算を投入せず、民間投資事業として進めることを検討している。社会基盤施設に対する民間投資法推進の手続きに基づき、妥当性を検討する計画だ。
ソウル市のファン・ボヨン都市交通室長は、「ソウル市が世界で初めて導入するスマートシェルターは、未来型の交通環境に見合う革新の始まりになるだろう。公共交通を利用する市民の安全を守りながら、スマート機能を活用して様々なサービスを提供するなど、市民のより高まった期待に応えられるよう努力する」と述べた。
テスト設置デザイン
現場設置シミュレーション鳥鑑図
(室内型シェルター1つ・室外型シェルター2つが組み合わされた形態)
鳥鑑図
(室内型シェルター1つ・室外型シェルター2つが組み合わされた形態)