新型コロナウイルス感染症の拡大による感染症の危機警報レベルが「深刻」へと引き上げられてから100日が過ぎた。新型コロナウイルス感染症は韓国内の感染者が1万1千人を超え、世界中でも600万人を超えるなどパンデミック(世界的大流行)に発展した状態だ。
幸い、一日平均約730万人が利用するソウル地下鉄ではまだ感染拡大の事例が確認されていない。徹底した防疫消毒と災害対応により、地下鉄内の感染者「ゼロ」を守ってきたソウル交通公社が、新型コロナウイルス感染症に対する危機警報レベルが「深刻」へと引き上げられて以来、100日間の感染拡大防止に向けて続けてきた努力とその記録について紹介する。
<地下鉄の駅舎・電車を毎日休まず防疫…全体の防疫回数は37万回を突破>
ソウル交通公社は1月27日、感染症の危機警報レベルが「警戒」であった時から、事態の深刻さを認識し、最高水準の防疫を継続して行ってきた。1~8号線にある278の全駅舎の顧客接点箇所(エスカレーターの手すり・交通カード発売機など主な施設物)は出・退勤時間帯の2回を含めて一日4回、トイレは一日2回など毎日継続的に防疫を実施している。
全駅舎で一日4回ずつ新型コロナウイルス感染症の対応に向けて防疫を実施している。
▼ 全駅舎で一日4回ずつ新型コロナウイルス感染症の対応に向けて防疫を実施している。 |
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電車内の防疫も絶えず行われている。防疫服を着た職員が電車の回送ごとに超微粒子噴霧器で客室内を消毒し、手の接触が多い手すりと座席の端の握り棒を綺麗に拭き取っている。電車が車両基地に戻ってくるたびに乗客が座った椅子を高温スチームクリーナーで綺麗に拭き取る作業も続けられている。
回送時・車両基地に到着時に電車内で丁寧に防疫消毒を行っている。
▼ 回送時・車両基地に到着時に電車内で丁寧に防疫消毒を行っている。 |
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このように実施された全体の防疫回数は、危機警報レベルが「警戒」となって以来を基準にして駅舎内の防疫211,732回、電車内の防疫161,461回となっている。地下鉄内で施行された防疫をすべて合わせると373,193回で、一日平均約3,700回が実施されたことになる。
投入される人員と物量も相当な数だ。駅舎の防疫消毒は毎日1,724人が、車両基地内の電車防疫消毒は556人が行っている。消毒剤の原液は毎日73.6L(駅舎20.6L・電車53L)が投入されているが、原液と水を1:200の割合で希釈して使用しているため、毎日15,000Lに近い消毒剤を使用していることになる。防護服も毎日41着を消費している。
<外部の感染者の地下鉄利用が確認された場合は経路を把握して直ちに防疫消毒を実施>
3月9日クロ(九老)コリアビルディングのコールセンター、5月6日イテウォン(梨泰院)のクラブ、5月27日物流センター内の集団感染などにより外部の感染者が多数発生した場合にも、確認された地下鉄内のすべての経路において防疫消毒を実施した。
ソウル交通公社が運営している1~8号線以外にもウイシンソル線や9号線など首都圏の電車内で感染者の移動経路が把握できた場合は、全経路に防疫消毒が行われるように同種の運営機関と協力して対応している。
感染者が地下鉄の乗車のため改札口を通過する前に対応できるように、列車の駅やバスターミナルと隣接した首都圏外への流入人口が多い主要駅舎には、サーモグラフィカメラを設置して運用している。
このような努力により、地下鉄内における新型コロナウイルス感染症の拡大は今まで発生していない。しかし外部からの感染者が地下鉄に乗って移動したという事実が確認された場合、直ちに自主防疫を実施し、必要な場合は管轄の保健所や疾病管理本部などと連携して追加の措置も施行している。
<「生活防疫」の切り替え後、輸送人数は少しずつ増加…市中感染の発生時には再び減少>
危機警報レベルが「深刻」へと引き上げられて以来、地下鉄の輸送人数にも大きな影響があった。危機警報レベルが「深刻」へ引き上げられ、市中感染が広まると「高強度ソーシャル・ディスタンシング」が始まった。大人数の利用施設の運営統制・在宅勤務の実施・大規模な行事の中止・学校始業の延期などが行われ、地下鉄の輸送人数もこれに伴って減少した。
その後、ソーシャル・ディスタンシングが5月6日から「生活の中の距離確保(生活防疫)」に切り替えられ、地下鉄の輸送人数も少しずつ増加傾向にある。しかし、イテウォン(梨泰院)のクラブ・物流センターの市中感染など首都圏内の新型コロナウイルス感染症の集団感染が発生した時は一時的に輸送人数が減少するなど、まだ平年水準までは到達していない状態だ。
新型コロナウイルス感染症の状況によって輸送人数が刻一刻と変化する中、地下鉄内における新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、ソウル交通公社はソウル市とともに5月13日から混雑時のマスク未着用者の利用を制限する方針を実施している。
<新型コロナウイルス感染症がもたらしたアンタクト(非対面)時代、SNSを活用した予防・励まし広報で対応>
新型コロナウイルス感染症によるソーシャル・ディスタンシング運動が活性化し、あらゆる活動で直接的な対面または接触を最小化する「アンタクト(非対面)」文化が社会的に根付いた状況だ。
ソウル交通公社もこれに合わせて新型コロナウイルス感染症予防及び市民を励ますためのメッセージを公式YouTube・Facebook・TwitterなどSNSを活用して継続的に伝えている。
5月13日からは「混雑度の事前予報一日案内」サービスも提供している。ビッグデータを活用して翌日の地下鉄の混雑度を計算し、SNSを通じて利用客に事前に知らせている。
<職員の感染はすなわち地下鉄が止まるという覚悟で…地下鉄が「新型コロナウイルスのクリーンゾーン」となるその日まで>
ソウル交通公社は乗客だけではなく職員の新型コロナウイルス感染症の感染を防ぐために対策を継続的に行ってきた。顧客と直接的に接する職員には使い捨て防疫服を支給し、勤務空間にアクリルの透明カーテンを設置するなど感染保護対策を立てた。
特に地下鉄の運行を総括する総合管制センターに勤務中の職員と、電車を運転する乗務員が感染した場合は、地下鉄の運行が全面的に中断となる可能性があるため、彼らの感染防止対策にさらに万全を期している。
本社などは業務空間を分けて感染者が発生しても業務を続けられるように対処し、職員の構内食堂は食事時間を分けて互いに離れて座るようにしている。毎日午前・午後に体温測定も2回実施中だ。このような努力のおかげで、幸い現在まで職員の感染者は発生していない。