パク・ウォンスン(朴元淳)市長民選6期1年記者会見文
「次は民生です。経済です」
1.MERS感染拡大食い止めにご協力くださった市民の皆様に感謝申し上げます
ソウル市民とともに民選6期を発足させたのがつい昨日のことのようですが、もう1年になりました。
セウォル号沈没事故の悲劇の中で、市民の安全を最優先課題に掲げて出発した民選6期でした。
私は民選6期を出発するにあたり、「市民が生命と生活に不安を持たずに夢と希望を抱けるよう後押しすること。それがソウル市の存在理由であり、大韓民国の存在理由」と市民の前で宣言しました。
あれから1年余り、私たちはMERSという未曾有の危機に襲われました。
そして、私たちはMERS感染拡大がもたらした不安と生活苦の中で民選6期1年を迎えました。
市民の生命と暮らしの安全を守ることこそソウル市の存在理由であり、ソウル市政の第一の価値、第一の原則、第一の基準であることを改めて思い起こし、誓いを新たにしました。
MERS感染者発生から今日で42日です。
この42日間、ソウル市は準戦時体制を敷いてMERSと戦ってきました。政府と自治区、医療界と連携し、総力をあげて対応してきました。その結果、今MERSは終息しつつあります。しかし、ソウル市はMERSが完全に撲滅されるまで緊張の糸を緩めず、政府と緊密に連携して徹底的に管理・対応していく方針です。
MERS感染拡大により、多くの市民が苦痛を受けました。
ご苦労された感染者や接触者の方々、そしてその家族の方々、皆様にお見舞い申し上げます。一日も早くご快復なさいますように。何よりも私たちが忘れてはいけないのは、MERS感染拡大を食い止めようと最前線で戦われた医療機関のスタッフ、保健所の職員、患者を搬送した消防隊員の皆様です。心より感謝申し上げます。共同体への献身と犠牲の精神で業務に臨んでいらっしゃる皆様こそ真の英雄です。また、MERS防疫対策本部状況室で夜を徹して黙々と業務に臨んでおられるソウル市職員の皆様にも感謝申し上げます。
今回のMERS感染拡大が残した教訓を、私たちは決して忘れてはいけません。
特に、保健医療分野と感染症防疫体制の全面的な改革が必要です。ソウル市では、市レベルで思い切った公共医療革新を行う計画です。総合対策がまとまり次第発表いたします。
2.あらゆる政策手段と予算を駆使して民生回復をリードします
MERSは市民の暮らしに深い傷跡を残しました。
さらに、もう一つのMERSが私たちの行くべき道をふさいでいます。
私たちの暮らしを脅かす深刻な民生危機は、まさに第2のMERSです。MERSがもたらした観光業の危機、中小商工業者と伝統市場の荒廃、医療機関の苦痛はもとより、以前から韓国社会に暗い影を落としていた若年失業、増える一方の家計負債、鈍化する成長率、失われた成長エンジン‐これこそ第2のMERSではないでしょうか。
市民の暮らしを守ることは、市民の生命を守ることに匹敵するほど重大な課題です。ソウル市は、MERSによって傷ついた市民の心を癒し、苦しくなった民生を回復させ、崩壊した経済を立て直すことに市政の全精力を集中させてまいります。民生と経済の回復において、先行対応、積極対応、総力対応を惜しまず行ってまいります。今後のソウル市政は、一に経済、二に経済、三も経済です。
私は何事にも時があると思います。時を逃せば、どんな薬も効かなくなってしまいます。適切な時に適切な対策をとらなければなりません。「ピンチはチャンス」といわれます。ソウル市は、市の政策と組織と予算のすべてを駆使し、民生と経済の回復に全力を尽くしてまいります。ソウル市が民生回復の先頭に立ってまいります。MERSを食い止めると同時に、第2のMERSも食い止めます。
まず、MERSによる被害の回復、損害補償、景気回復が最優先課題です。今回のMERS感染拡大により、最大の被害を受けたのは病院や薬局などの医療機関です。どんな形でも医療機関に対する補償と支援が必要です。政府が早期に適切な対策をとるよう働きかけてまいります。
商店街の被害も深刻です。MERS感染者が経由したカンドン(江東)区の某医療機関に行ってみたら、商業ビル全体がガランとしていました。根本的に消費が回復しなければなりませんが、ソウル市は商店街活性化のためにできる限りの措置をとってまいります。
景気が厳しくなればなるほど、一番苦痛を受けるのは庶民です。庶民が受ける苦痛を考えると、悲痛で惨憺たる思いです。ソウル市は、庶民の暮らしの安定と雇用創出に向け、先行して、最大限に、継続的に取り組んでまいります。
雇用創出は、MERS感染拡大以前からすでにソウル市政の最優先課題でした。雇用創出に向けた長き道のりが間もなく始まります。それが始まれば、質の良い雇用の創出基盤となる経済や産業、観光、文化、都市再生、民間投資、社会的経済など市政全般に拡大させ、民間雇用創出の構造的解決にも全精力を集中させる計画です。
3.「外国人観光客2千万人の都市、ソウル」を目指して邁進してまいります
何よりも急を要するのは、MERSによってすっかり途絶えてしまった外国人観光客を再びソウルに呼び戻すことです。
6月末現在、MERS感染拡大によって韓国訪問をキャンセルした外国人観光客は約14万人に上り、それに伴う観光収益損失も1,200億ウォンを超えるという見通しが示されています。カンファレンスしやすい都市3年連続1位、観光分野で3年連続コンベンション5大都市、グローバルMICE都市世界4位を誇っていたソウル市です。
ソウル市はこの危機を乗り越えるために、観光・旅行業界や宿泊業界、飲食業界、ショッピング業界など、すべての観光インフラ業界と連携して外国人観光客を再びソウルに呼び戻すことに全力で取り組みます。グローバル観光ビジネス都市「ソウル特別市」の名声を取り戻します。さらに、観光サービス産業がソウル市の成長エンジンとして定着するよう、「外国人観光客2千万人の都市、ソウル」を目指して日夜取り組んでまいります。外国人観光客が2千万人となれば、年間42万人の新たな雇用創出効果と22兆ウォンの付加価値を創出する、いわばソウル市の「黄金の卵」となるでしょう。
この目標を達成するためには、この夏のバカンスシーズンと秋夕(旧盆)の書き入れ時を十分に生かすことが重要です。そこで、ソウル市は中国、香港、東南アジアを中心とした大々的なメディア広告を準備しています。100億ウォン台の資金を海外PRに集中的に投じ、海外の主要市場で大々的な広報マーケティングを展開する計画です。私自ら東南アジアと中国の都市に出向き、現地プロモーションと特別イベントを開催することも検討しているところです。影響力のある名の知れた海外メディアを対象にソウル市ファムツアーを推進するなど、ソウル観光マーケティングを大幅に増やしていく計画も立てています。
ソウル市の観光産業が再びかつての名声を取り戻し、経済を回復させる「黄金の卵」となる「外国人観光客2千万人の都市、ソウル」の実現のためなら、私自ら観光ガイドを買って出る覚悟です。
4.借金してでも補正予算を編成し、景気回復に全力を尽くします
ソウル市は、民生と経済の回復、観光産業活性化、景気回復に全力を尽くしてまいります。すでに6月10日、中小企業と小商工業者を支援するために資金2千億ウォンが投じられ、現在約5,500件、1,582億ウォン規模の相談があり、支援が迅速に行われています。しかし、経済活性化を引き出すには、これだけではまだ不十分です。
そこでソウル市は、厳しい財政状況ではありますが、借金してでも民生と経済を回復させようという方針です。私が市長に就任して以来、ソウル市は財布の紐を締めて支出を削減し、7兆5千億ウォンに上る債務を返済しました。これまでは節約に徹してきました。今は市民のために、民生回復のために市のお金を使うべきときだと思います。借金してでも必ず補正予算を編成して庶民経済を立て直すべきときです。現在5千億ウォン規模の緊急補正予算の編成を検討しており、必要な財源の一部は短期借入をしてでも調達してまいります。補正予算は、ソウル市の民生と経済を回復させる貴重な種となるでしょう。
5.現場で市民と一緒に答えを探します
私は1年余り前から、セウォル号沈没事故の傷跡を癒し、市民とともに新たなソウル市を築くために、市民が暮らす現場の中へ飛び込んでいきました。運動靴を履き、リュックを背負い、市民が暮らす現場で民生の道、未来への道を模索しました。あれから1年、ポストMERSを迎えるソウル市の再建に向け、再び現場へ、市民の暮らしの中へ飛び込んでいこうと思います。
6月25日から4日間、私は市民が暮らす現場へ向かいました。
閉鎖されて廃墟と化した医療機関や再開した医療機関、長蛇の列が並ぶ信用保証事務所の窓口、ガランとした伝統市場と路地裏商店街、人足まばらなミョンドン(明洞)及びインサ(仁寺)洞などを視察しました。
市民とともに現場で過ごした4日間、私はそこで多くの答えを見つけることができました。
MERS危機を乗り越え、新たな未来を切り開く答えは市民の中にありました。
- 「深刻な損害を受けた医療機関への適切な補償が必要です」
- 「人足の途絶えた商業ビルとテナントショップのために、その建物の前の広場で公演や音楽会を開いてください」
- 「路地裏商店街のためにお昼時は駐車取締りをしないでください」
- 「ソウル広場に常設ステージを設置し、毎晩公演を開いて市民と観光客が訪れるスポットにしてください」
- 「日本に行ってしまった中国人観光客を呼び戻してください」
- 「そのために、市長自ら中国の各都市を回って観光マーケティングをしてください」
- 「一番利率の低いソウル市の資金をもっと拡大してください」…
これらの貴重なご意見とご提案は、すべてソウル市の政策となりました。(これらの意見はすべてソウル市の政策として現在推進中です。)
このように、私たちが求める答えは、決して遠いところ、高いところにあるのではありません。
一番低いところ、一番大変なところ、一番困難なところにあるのです。
そこには市民がいて、暮らしがあり、民生があります。ですから、結局はそこが一番高く、一番偉大なところだと私は思います。そこで民生を回復させ、成長の要素を見出し、雇用を生み出します。そのために、これからも私はいつも現場にいます。
これまでと同様に、これからの3年も変わることはないでしょう。
市民の一番近いところで、市民の一番現実的な問題を解決しながら、市民とともに未来を築いてまいります。一番の基本である市民の生命と安全な暮らしを守り、市民の幸せを一つずつ増やしていくこと、それこそ私が掲げた「市民が市長」を実現する道、ソウル市が向かう新しい道だと思います。
迷いはありません。市民の幸せと安全な暮らしを守るためなら、どんな茨の道もためらうことなく進んでまいります。市民とともに夢を抱き、市民とともに築き、市民とともに享受するソウル市政はこれからも続くでしょう。ありがとうございました。