モーツァルトの街として知られるオーストリア・ザルツブルク。ビートルズの街、英国リバプール。モーツァルトとビートルズはその街の代名詞となり、都市と国の競争力向上に貢献している。
大韓民国・ソウルには、古い歴史遺跡地や心温まる人情、ショッピング・スポットが溢れている。ソウルならではの歴史・文化とライフスタイルが、世界の人々を引きつけている。
さらに、韓流ブームの影響で2014年には外国人観光客1,142万人がソウルを訪れた。このところソウルの魅力に再び注目が集まり、外国人観光客2千万人時代を迎えようとしている。ソウルは感性を刺激する新鮮なコンテンツや感動を与える見どころなどで、持続可能な観光都市と位置づけられている。外国人にとって「また行きたい街」になっているのだ。
多くの外国人が訪れるイテウォン(梨泰院)には、駅1番出口を出たところに大きなスーツケースを象ったオブジェがある。1980年代、イテウォンでしか手に入らなかったスーツケースを、旅行者が持って立っている様子を表現したものだ。日中は観光案内所、夜間は周辺を灯す街路灯として活用されている。
シンチョン(新村)の大学街は、1970~80年代に学生だった人にとっては青春時代の思い出の場所であり、10~20代にとっては新世代の街だ。ヒョンデ(現代)U‐PLEX百貨店前にある赤の音楽バス「プレーバス」は観光名物になっている。中のDJボックスでいろいろな音楽をヘッドホンで聴くことができる。
数人のグループで個別にソウルのいろいろな街を体感するというのが、このところのソウル観光のトレンドだ。彼らは観光ガイドマップを手に、公共交通機関を利用し、路地を歩きながら、五感で観光を楽しむ。
ソウル市は個別観光客向けのテーマ別観光コースを開発し、ソウルを初めて訪れた外国人が楽しく観光できるようサポートしている。スローショッピングやイベント、映画「アベンジャーズ」のロケ地巡りなど、ソウルで楽しめる観光コースをホームページに掲載している。
また、単に見るだけでなく、ソウルの歴史と文化について知りたいなら、「解説のある徒歩観光プログラム」がオススメ。ソウル文化観光解説士による専門的な解説を、英語、中国語、日本語で聴きながら観光名所を巡ることができる。徒歩で探訪する観光プログラムは、キョンボックン(景福宮)やプクチョン(北村)、チョンゲチョン(清渓川)、ナムサン(南山)城郭、ソンギュングァン(成均館)、ソウル市庁舎など25コースで運営されている。インターネットかモバイルアプリ(dobo.visitseoul.net)で事前予約が必要。料金は無料。
ソウル市は年々増加する外国人観光客の利便性を考慮し、観光宿泊施設の増設に力を入れている。中~低価格のホテルを多く建設するほか、空き部屋を外国人観光客と共有する都市民宿業や韓屋・テンプルステイなど、特別な宿泊体験施設を拡充し、単に泊まるだけではなく、文化を共有する交流の場づくりを目指している。
そして、20カ所余りの観光案内所では、見知らぬ街で不便を抱える外国人向けに周辺の地理と観光資源を案内し、観光客の苦情にも親切に対応している。特に、「動く観光案内所」と呼ばれる赤い服を着た観光ボランティアは、道案内だけでなく、緊急事態にも迅速に対応してくれる。
ソウル市は、外国人がぼったくりなどの被害を受けた場合、審議委員会の審議を経て補償金を支給している。また、主要観光地に外国人観光客の苦情に対応する観光警察と名誉観光保安官を配置している。
現代の多くの人は、見知らぬ街で、見知らぬ人と交流し、その国の文化に触れ、新しいことを体験しようと海外旅行をする。
ソウル市は、様々な国や人種の人にソウルを訪問してもらい、「また行きたい街」というイメージを持ってもらおうと取り組んでいる。
感性を刺激する新鮮な体験ができ、不便のない旅行環境が構築された街「ソウル」。今、ソウルは世界的な観光都市を目指して発展を続けている。