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都市再生

  • 撤去予定だったソウル駅高架道路、人が歩く「空の道」に様変わり

  • 都市再生 SMG 3,688
    • 寿命を迎えた高架道路を撤去ではなく人が歩く「空の道」にし、観光資源として活用
    • 「ソウル駅7017プロジェクト」と命名…市民の歩行権を確保し、都心再生の突破口に
    • ミョンドン(明洞)やナムデムン(南大門)市場、スンニェムン(崇礼門)などと17歩道を有機的につないで道路上に「空中庭園」を造成し、2017年に市民に開放する予定…ソウル駅を中心とした新たな観光名所の誕生に期待

    ソウル駅前に人が歩く「空中庭園」が完成すれば、ソウルは異色の街になるだろう。

    車が通っていたこの高架道路は、寿命を迎えて撤去されなければならない運命だったが、撤去せずに人が歩く「空の道」になることが決定し、ソウルの新しい観光名所として脚光を浴びそうだ。

    この「空の道」が興味を引くのは、高架道路を一本の大木に見立てたコンセプト。トェゲロ(退渓路)からチュンリムドン(中林洞)まで樹木を植え、照明を枝に見立て、17本の歩道と有機的に結びつけた。自然を媒介にコンクリート構造である道路を命の場所にするというビジョンと戦略が未来志向かつ革新的だと評価されている。

    「空の道」が完成すれば、ソウル駅一帯を見下ろす眺望が新たな観光名物となるだろう。高架の上には季節の植物が植えられ、観光客が憩いの時間を過ごせるカフェなどもできる。

    現在のソウル駅高架道路の様子

    ソウル駅は一日平均40万人が行き来するソウルの関門で、南北統一を見据えたユーラシア鉄道の始発点・終着点でもある。しかし、駅周辺は道路で囲まれて島のように孤立しており、都心へのアクセスに限界があった。

    その結果、都心にあるにもかかわらず、クァンファムン(光化門)やヨンサン(龍山)、マポ(麻浦)など周辺地域とは違い、発展が進まないうえ、住居環境の老朽化とインフラ不足によって地域住民は不便を強いられている。

    ソウル駅高架は2012年の精密安全調査で橋梁の残存寿命が2~3年しかないと診断され、市民の安全のためにも年内に撤去せざるを得ない状況だ。

    ヴィニー・マース氏の設計案

    「ソウル駅7017プロジェクト」は、老朽化で撤去を迫られているソウル駅高架を再生させることで市民の歩行権を確保し、都心再生の起爆剤となりうる事業である。「車道」だったソウル駅高架が「歩道」になれば、断絶されていたこの地域が17の通路でつながり、四通八達の交通の要衝となり、スンニェムン(崇礼門)やハニャン(漢陽)都城、ミョンドン(明洞)、ナムデムン(南大門)市場など周辺の観光名所とつなぎ、シナジー効果が発揮され、ひいては断絶された周辺地域の統合と再生の礎になるであろう。

    「ソウル駅7017プロジェクト」は、「歴史的記憶のない美は存在しない」という思考から始まった。漸進的な発展過程を市民と共有し、地域住民が実感できる西部圏域の総合発展に向けた第一歩である。開発ありきではなく、再生を通じてソウルの記憶と歴史を保存しようという計画である。

    「ソウル駅7017プロジェクト」は、1970年に建設された高さ17メートルの高架道路が2017年に歴史的高架道路に、そして17の歩道に生まれ変わることを意味する。

    周辺の建物との連絡通路

    ソウル市は「ソウル駅7017プロジェクト」を具体化すべく、国際懸賞設計公募を実施した。道路の老朽化と周辺地域の特性を踏まえ、建築・造景・構造分野の協業という形で推進し、近代産業遺産を蘇らせるノウハウを有する韓国内外の専門家7人を選定、国際指名招待方式で行った。

    韓国内外の名声ある建築・造景専門家5人で構成された審査委員会が審査した結果、オランダ人で建築・造景専門家ウィニー・マス氏(Winy Mass)の「歩道を樹木園に(Green City Project)」をテーマとした「ソウル樹木園(The Seoul Arboretum)」が最終的に選定された。

    ソウル市は当選者の提案事項を基に、具体的な施設の整備や造景、周辺との連絡通路を含めた基本設計を策定中だ。何よりも安全を最優先にすると同時に、季節によって様々なテーマを設定し、ソウルの歴史と文化が息づくものにする計画だ。

    ソウル駅高架改善による影響

    ソウル駅高架は、2015年11月から橋梁の主桁底版の撤去及び補修・補強工事を開始し、2017年上半期に完了、市民に開放する予定だ。

    ソウル市は2014年10月と2015年5月の2回にわたり、ソウル駅高架を市民に開放するイベントを催した。歩道になった高架道路を事前に体験してもらおうというものだった。ソウル駅高架が完成した1970年以来初めて人が歩いたのである。市民約6万人がイベントに参加し、高架道路に隠れていたソウル都心の風景を眺めながら散策と憩いを満喫した。今後、歩行公園が完成すれば、索漠としたソウル都心の風景が緑の空間となり、市民や観光客が訪れるソウルを代表する名所になると期待している。

    長年ソウル市民の交通を支えてきた重要なインフラを従来のように建設で破壊するのではなく、都市再生を通じて市民の暮らしを支えるという新たな価値を目指すこのプロジェクトは、ソウルの新たな開発パラダイムを象徴する事例となるだろう。

    ソウル駅高架徒歩観光ネットワーク

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