ソウル市は、LPガスを燃料とする法人タクシー400台を対象に、窒素酸化物(NOx)を削減する試験事業を国内で初めて実施する。
LPガスを燃料とするタクシーには、排気ガスを浄化する三元触媒装置を装着することが義務付けられている。三元触媒装置とは、エンジンの排気ガス中の炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)を酸化させて、無害な二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、水(H2O)に変える働き、すなわち、汚染ガスの排出を防ぎ、自然に浄化する装置のことである。一般にタクシーの寿命は4~6年(走行距離50万㎞)と言われ、それを過ぎると廃車となる。しかし走行距離19.2万㎞に達する頃にはすでに、三元触媒装置の性能保証期間が過ぎ、排気ガスの浄化効率が低下する。そこで性能保証期間が過ぎた装置を無料で交換し、装置の機能を維持することで窒素酸化物を削減しようとするのがこの事業の目的である。
ソウル市は、登録車両の68.7%を占めるガソリン及びLPG自動車に対し、1987年に三元触媒装置の装着義務化を行ったが、それ以来、追加的な対策が何も講じられてこなかった。そのため、今回行う「窒素酸化物削減試験事業」を通じて、窒素酸化物の管理を厳密にして大気汚染の改善に取り組むことにした。
この事業で装置を無料交換する車両は、事前申込みを済ませている法人タクシー会社17社の計400台の車両である。最初の登録日が2010年あるいは2011年の車両で、累積走行距離が20万㎞以上のものが対象となる。また、今回は試験事業であることを考慮し、タクシーの約75%を占めるソナタのみを対象に選び、ソウル市と環境省が共同で選定した三元触媒装置業者を通じて5月から装着を開始する。
ソウル市は、今回のLPガスを燃料とするタクシーの排出ガス削減装置交換事業の成果をもとに、LPG自動車はもちろんガソリンを燃料とする車両にも漸進的に事業を拡大することを検討している。また、大型貨物車およびバスに対しては、粒子状物質だけでなく、窒素酸化物も削減できる「PM-NOx削減装置」の付着事業を推進する計画である。