賃貸住宅団地をソーシャルミックスの地域共同体に

    昨日の夕方7時から、江東区(カンドング)・江一洞(カンイルトン)にある江明(カンミョン)小学校の講堂において江一(カンイル)地区のSHIFTに引越した住民約200人が集まった中、「SHIFT社会住宅の管理・運営、どのようにすべきか」というタイトルで政策討論会を開きました。廊下にまでぎっしりと人が集まり、住民の熱い関心が感じられました。それぐらい不満と要求があるということでもあります。

    賃貸住宅と分譲住宅の住民の間の葛藤と対立を真剣に考慮し、調整するという努力をしない状態では、彼らの反目は減りません。同じ場所に集まったのは初めてだという話もありました。このような状態で一つの共同体を作れるはずがないのです。このような状況では、当初団地造成の際に掲げていたソーシャルミックス(Social Mix)という目標は達成できないのが当然です。

    また、住民の声に耳を傾け、彼らの不満を解決しようとする努力が足りませんでした。とくに、SH公社は賃貸アパートを建てただけで、彼らの要求を解決するために十分な努力をしていません。この日、その場には私を含め、住宅室長、福祉健康室長、村共同体担当官などが出席しました。これからはアパートに対する投機や利欲を超え、地域共同体の協力によりすべての住民が幸せな時代を切り開かなければなりません。そのためには住民はもちろん、専門家、市民団体も団結して最善を尽くします。この会合を機に、今週は賃貸住宅団地を巡回し、住民の意見を聞き、代案を設ける予定です。

[メモを取っている朴元淳市長 ]

SHIFT社会住宅管理運営政策ワークショップ

  • 1. 日付 :12.9.11(火)19:10〜21:00
  • 2. 場所: 江一洞江明小学校視聴覚室
  • 3.参加者:約200人(市民団体、専門家など)
    -市民団体:江東区SHIFT賃借人代表者会議連合会、江東市民連帯、江東希望分かち合いセンター、江東・松坡ヨルリン(開かれた)社会市民連合、参与連帯民生希望本部
    -専門家:ソ・チェラン弁護士、キム・ナムジュ弁護士、イ・ジュウォン局長など
    -ソウル市:市長、住宅政策室長、福祉健康室長、ソウル革新企画館、SH公社社長

  • 4. 会合方法: 政策提案別に発題を行い、自由討論
  • 5. 討論のテーマ: SHIFT社会住宅の管理・運営、何が問題なのか。?
  • 6. 次第
    [19:00〜19:10] 開会および出席者の紹介/挨拶の詞
    [19:10〜20:00] テーマおよびクレーム内容の発表
    – 発題1:江一3団地 賃借人代表会議-キム・ビョンイル
    (SHIFT団地運営における総体的な問題点)
    – 発題2:分かち合いと未来-イ・ジュウォン事務局長
    (SHIFT政策、どのように改善し、発展させるべきか)
    – 発題:住民からの苦情を発言
    =>発題および苦情の内容に関するソウル市関係者の説明および答弁
    [20:00〜20:30] 参加者による自由討論



夏の終わりに

    もう秋になったに違いありません。

あれほどの蒸し暑さも、季節の変化には跪くものですね。今年の夏は本当に大変でした。

    ソウル市では並木が干乾びてしまい、日照り対策本部を作りましたが、次は酷暑で全国から死者が続いたので、とうとう酷暑対策本部を作りました。その直後は漢江(ハンガン)に緑藻が広がり、水道水に異常が生じてはいけないと思って緑藻対策本部を作りました。その後は台風が上陸し、局地性大雨の予報が続いたので水害を恐れ、私を含む災難対策本部は戦々恐々としていました。

    もちろん、まだ安心は出来ません。なぜなら台風が本格的に来るのは9月だからです。秋夕(チュソク)の時も我々は節日を思う存分楽しむことができません。9月が過ぎ、10月中旬にならないと、我々ソウル市の災難防災対策本部を完全に解除することはできません。

    しかし、市民の皆さん、この秋を満喫してください。秋は読書の季節であり、実りの季節です。自らを成長させることのできる最高の季節です。多くの本を読み、深く考え、多くのものを獲得する、皆様にとってそういう季節になることをお祈りします。




小型マンションの人気から、未来を見据える政治力を思う

    9月7日、今夜は、普段より早く帰宅して9時のニュースを見ました。その中で、中型・大型のマンションが売れ残り、悩みの種だというニュースを耳にしました。

     特に、一時期、人気の高かった40〜50坪のマンションを買っていたお年寄りが困っているようです。これは、子どもが独立した後小型のマンションに移り住むことによって、住んでいたマンションの売却益を老後の生活費と子どもたちの結婚費用として使う計画だったのですが、あてがはずれマンションがなかなか売れないためです。

    韓国の家族構成は最近急激に変化しています。 ソウルを例にとってみると、1人世帯が24%、2人世帯はほぼ半数に達しており、今後も急増が見込まれています。このような状況で大型マンションが売れないのは当たり前のことです。

    最近、マンション建設会社が直面している危機も同じ理由です。大型マンションが売れず、倒産の危機に瀕している建設会社も多々あるそうです。ソウル市傘下のSH公社も恩平(ウンピョン)ニュータウン地域に建てた大型マンション600件が売れず、大変苦労をしています。残念なことです。

    ところが、このような人口の変化は、昨日今日突然生じたわけではありません。かなり以前からわかっていたことですので、学者や行政担当者がもう少し統計をきちんと分析し、モニタリングしていたら、このような不幸は防ぐことができたはずです。企業家や行政担当者にとって、統計から未来を見据える能力が大事なのはそのためです。

    先日、可楽洞(カラクドン)や開浦洞(ケポドン)の再建築組合が再建築許可をソウル市に要請しましたが、その際、ソウル市は、小型マンションの比率を30%にまで引き上げるように指導しました。これは上で述べたような点に基づいています。ソウル市民の財産と生活について真剣に悩み、未来を見据えた力をもって政策に反映させることは、ソウル市長としての当然の義務です。

    21世紀を予測し、未来に向かって準備することは、この時代を生きる人々の責務です。それを私は、予防行政とか予測行政と呼びます。我々の過ちは我々のみならず、後の世代にとって負の遺産となるからです。考えてみてください。すでに1人世帯・2人世帯が全世帯の75%に近づいている今日、かつて人気だった、あの大型マンションはどうなると思いますか。取り壊すことも、分割して売ることもできません。本当に悩みの種です。




雨水税と聞いて、驚かれたのではありませんか

    「雨水税と聞いて、驚かれたのではありませんか」 市民の皆様、今日はどのような一日でしたでしょうか。空を見上げる余裕はございましたか。今日は空が高く、青々としてとても美しく感じました。心ここにあらず、外へと飛び出して行きたい欲求にかられ、仕事に集中するのが大変でした。皆様も同じような状態ではなかったでしょうか。さらに、今月はひと月に望月が2度訪れるという珍しい月、そして、今日はその2回目の満月「ブルームーン」の日だそうです。今日は空や月といった自然を満喫する日なのですね。

    ところで、先日、美しい自然の名称が付いている税金について報道がなされ、驚かれたのではないでしょうか。「雨水税」のことです。「税金」といえば、なんとなく損をしている気分になりますが、「雨水」にかかる税金なんて、雨が降るのも私のせいにするのか、と思われたのではないでしょうか。そのような誤解を解くために、筆を取りました。

    まず、「雨水税」という名称が不適切でした。「雨水税」はドイツのある税金の名称から借りたものです。ソウル市では、下水道料金を細かく設定し直し、雨水の管理効果を高めようという趣旨の議論を行っています。この「雨水税」という名称はこの議論の過程で使われていた名称なのです。この名称じゃ誤解も生じますよね。混乱を招くことになり、誠に申し訳ありません。

    誤解を解いていきたいと思います。ソウル市は、新しい税金を賦課したりそれを徴収したりする権限を持っていません。これは中央政府、すなわち、国会の権限なのです。法令による規定がない限り、ソウル市は独自で税源を定めたり賦課することはできません。つまり「雨水税」という新しい税金を勝手に決めることはできません。ソウル市は、従来の下水道の料金体系を改善する必要があると認識し、専門家たちの意見を検討していたのです。

    現在、ソウル市の下水道料金は、汚水と雨水の処理料金が区別されていません。ところが、税金を運用する際には、汚水と雨水とを区別すべきではないかという議論が提示されました。それではなぜ下水道料金を、汚水と雨水とで分けて考えるべきなのでしょうか。

    それはソウル市が「水循環都市」を目指しているからです。現在、ソウル市は急激な都市化により、不透水面積が 50%に達しています。これは、簡単にいうと、ソウル市が雨水を溜める巨大な洗面器になっているということです。新しい水が地面に浸透しませんので、地下水も枯れてしまいます。資源となる雨水は利用されず、そのまま汚水とともに川へと流されます。それだけではありません。ただでさえ気候変動による局地的大雨が増えているにもかかわらず、土が雨水を吸収しないので、洪水などの災害問題も深刻化するのです。このような状況を根本的に解決するためには、都市が循環システムを備えなければなりません。したがって、ソウル市では水循環都市への転換を計画しています。その議論の一つが、下水道料金を細分化することです。

    「雨水税」はやめて、「雨水料金」とでも言っておきましょうか。「雨水料金」は新しく税金を徴収するわけではありません。これまで汚水として区別なく処理されてきた下水道料金を「汚水」と「雨水」の2つに分けるということです。そうすることによって、雨水の管理に必要な財源を作ることができるのです。また、市民の皆様が下水道料金の請求書を見るたびに、雨水は大切な資源なのだということを再認識するきっかけとなります。このようなことを通じて、水循環都市というソウル市のビジョンに市民の皆様といっしょに進んでいけるのではないかと期待しているのです。

    もちろん「雨水料金」にも問題がないわけではありません。正直に話しますと、2010年基準の下水道料金において、実際下水処理に使われた費用は約38%です。この点も考慮しなければなりません。不透水面積によって料金が課せられる「雨水料金」のシステムでは、面積の広い公共施設、土地の広い機関などが料金を多く負担するので、今より財源の確保が容易になると思います。様々な角度から考えていきます。また、「雨水料金」を導入するためには、関連法案の制定、改定、具体的施行方法などに関する、現実的かつ緻密な研究も行われなければなりません。もちろん、中央政府と国会の協力も必要です。ソウル市は今、議論を始めたばかりなのです。

    市民の皆様、隣国の日本はもちろん、数多くの外国の都市では大小の貯水施設を持っています。各家庭では雨水貯留タンクなどを設置し、生活用水として雨水を利用しています。大規模な公共施設、例えば、学校のグラウンドや地下施設物は、降雨量の多いときには大きな雨水貯留槽になります。それだけではありません。歩道や並木を作る時にも、雨水を溜められるようはじめから計画されています。だからこそ雨水による被害が少なく、資源として利用することもできるのです。地下水が豊富であれば、生態系にも良い影響を及ぼすと考えられます。シンプルなグランドデザインではありますが、目指すべき方向の例として挙げてみました。

    市民の皆様、新しく税金を作るわけではありません。誤解なさらないようお願い申し上げます。そして、多くの自然資源が利用できる生態都市・水循環都市、ソウル市がこのような持続可能な社会を実現できるよう力を合わせていきましょう。「雨水料金」に関する議論と政策樹立の方向性、また、その結果などについては、もちろん市民の皆様に公開してまいります。同時に、市民の皆様にどのように積極的に参加していただけるか、その方法も具体的に提案いたします。

    今日は実務関係者や専門家たちと討論を行いました。このようにして一歩一歩進んでいくのだと感じています。市民の皆様、私もソウル市の職員たちも最善を尽くしていきます。我らの社会に本当に必要な財産である「信頼」を築くことができるように。それでは、秋の夜長を満喫してください。美しい月もぜひ愛でてください。




60年生きてきて、初めての正規雇用

    5月1日、労働者の日 出勤する朝、胸がいっぱいでした。毎日通る道が、新鮮に感じられました。 市庁へ仕事に赴く人々を見て、「この中で今日正規雇用者になった人は何人位いるだろう」 一人で想像してみました。

    そして2カ月がすぎました。 非正規雇用から正規雇用へと変わったソウル市と傘下機関の1133人の方々がどのような生活をしているのか、知りたくなりました。満足しているのか、問題はないのか、気になりました。
そんな中、西部公園緑地事業所で働いているファン・スンボン氏の話を聞きました。

    今年60歳になるファン氏は今年12月に定年退職します。
定年まであと6カ月です。
ファン氏は14歳の時、「ヨコ」として新社会人になったそうです。「ヨコ」とは、ニットを作る技術者を意味する言葉であり、日本語に由来する俗語です。彼らは70、80年代、韓国経済を支えていた繊維産業の立役者です。

    貧困家庭で育ち、中学校も卒業できなかったファン氏は、自分より大きなミシンの前で徹夜して仕事したことも多々あったそうです。夜中の二時、三時まで夜勤していると、鼻血が出ることも幾度となくあったそうです。
しかし、その大変な時期を耐えることができたのは、「腕さえあれば、飢え死にはしない」という大人たちの言葉があったからです。貧乏で、教育もまともに受けていないファン氏を支えていたものはただ一つ、技術でした。

    手に水ぶくれができ、腰が切れるような痛みを感じながらも、回っているミシンの音がとても心地よかったといいます。ニット一枚が飯の種になり、お金になり、夢となった時代しかし、その夢は長く続きませんでした。十年以上貯めたお金で小さなニット工場を作りましたが、信頼できる人生のパートナーだと信じていた繊維産業は、斜陽産業となってしまいました。倒産してわずかな財産もなくなり、日雇い労働者になりました。毎日の明け方、寄せ場に行ってみましたが、仕事にありつけない日もあり、真夏や真冬はまったく仕事のない日が続いたそうです。

    そんな日常に疲れ切っていたある日、ファン氏はソウル市から非正規雇用者として雇われました。 西部公園で雑草を取り、花の種まきをし、木を育てる仕事。 人々が自分の育てた木々や花を見て幸せそうな微笑みを湛えていると、お金持ちになったように幸せでした。 しかし、心の一隅では、いつ解雇されるか分からないという不安がいつもありました。 「仕事がなくなったら、九十過ぎた母はどうなるのだろう」 一人で老母の面倒を見ているファン氏はいつも不安でした。

    そして5年目にして西部公園の正規雇用者となりました。自分が正規雇用者になるとは、しかも公務員になれるとは夢にも思わなかったと涙目になりました。 60年生きてきて、はじめての正規雇用-もうすぐ定年退職しますが、給料も少し上がって、ボーナスも出るというから、90歳を過ぎた老母と一緒に住んでいる狭い賃貸から新しい場所に移るため、積み立ても始めているそうです。

    生まれて初めて、たった7ヶ月の正規雇用ではありますが、それでも幸せだと語るファン氏!

    おめでとうございます。 そして、正規雇用への転換があまりにも遅かったこと、心からお詫び申し上げます。




龍山惨事について我々は無実でいられるのでしょうか-映画「二つの扉」を見て

    龍山(ヨンサン)惨事について我々は無実でいられるのでしょうか。
-映画「二つの扉」を見て

    「住民が無理な要求をしたかもしれません。しかし、市民が無理な要求をしたからといって、国家はあのような鎮圧をしても良いのでしょうか」

    2012年の下半期が始まる第一日曜日、私は「インディスペース」という小さな映画館で、ドキュメンタリー映画「二つの扉」を見ました。映画に出演した人権活動家パク・ジン氏の言葉が、ずっと脳裏から離れません。

    映画「二つの扉」は2009年1月20日に起こった龍山事件をテーマとしています。この事件では、撤去に反対する住民5人と警察特攻隊員1人が犠牲となりました。事件のきっかけは、龍山再開発4区域に住む住民が、強制的な撤去に反対し、「ナミルダン」という建物の屋上の望楼に立てこもったというものです。25時間目に始まった鎮圧は、戦争を彷彿とさせるものでした。すぐ凍りついてしまうような厳寒の季節だというのに、水大砲が打たれ、火炎瓶がとびかったのです。

    もし、あの当時、私がソウル市長だったら、強制撤去を阻止するために警察の前に立ちはだかったはずです。そして警察に「水大砲は発射するな、全員撤収しろ」と叫んでいたはずです。

    もちろん、強制撤去は法律に違反するものではありません。土地が管理処分となり、土地・建物の所有者組合が工事を許可したら、そのときはすでにソウル市長の管轄ではなくなります。区庁長と開発業者の間で話し合いが行われる段階です。残念ながら、ソウル市長であっても、強制撤去をやめさせることは不可能であったかもしれません。

    しかし、私の任期中は強制撤去はいたしません。区庁長と警察に協力を求めることになるでしょう。それでも強制撤去はしません。

    龍山惨事は、我々の社会について考えさせられる事件です。なぜ、これほど多くのニュータウンが作られたのか。当時、「ニュータウンさえ公約に掲げれば当選間違いなし」という皮肉をこめて、「ニュータウン選挙」という造語ができました。それはいったいなぜだったのでしょうか。我々は反省しなければなりません。この背景には、買った家の値段がさらに高くなり、財産がますます増えていく、ということを願った国民の欲があったのではないでしょうか。不動産はぜったい値下がりしないという神話を信じ、投機の気持ちが強く反映されていたのではないでしょうか。家主には権利があっても借主にはない、いやなら金持ちになれば良い、いやなら出ていけば良いといった利己主義が、この社会に広まっていたからではないでしょうか。

    そのようなことを考えると、我々は、龍山惨事の幇助者、あるいは傍観者であったと言えるのかもしれません。

    年が明けて日本に出張しましたが、その時に東京の六本木ヒルズの再開発事業について話を聞きました。この事業は17年間、4百回以上の住民説明会が開かれ、住民から100%の同意を得て進められたそうです。最後の住民の引っ越しが完了するまで待ったうえで、開発の作業が始められました。その時まで、いかなる暴力も強制もありませんでした。再開発事業は、必ず利害と葛藤を生みますが、そのような中にあっても、何を最優先に考えるべきか、何に価値を求めるべきか考えることによって事態は変わるということを、この六本木ヒルズ再開発事業は我々に教えてくれます。

    再度言いたいと思います。私の任期中に強制撤去はいたしません。ソウル市政の多くのものがそうであるように再開発事業も例外ではなく、大切なのは、スピードではなく方向だからです。




セビッドゥンドゥン島-きわめて不健全な事業については過ちを認め、正しい政策を打ち立てなければなりません

    私は市長となると同時に、色々な悩みの種も引きつがされました。その一つが人工島セビッドゥンドゥン島(フローティング アイランド)です。この事業については、さまざまな不当な措置が行われてきました。ここではその不当と思われる例を4点挙げたいと思います。まず、この事業は、地方自治法などに定められている「市議会の同意」を得ておりません。次に、投資総額が662億ウォンから1390億ウォンに急遽、倍増されました。さらに、無料で使用できる期間も20年から30年へと延長されました。最後に、このような不当な契約が明るみに出たばかりでなく、事業者であるフローソムが経費を水増ししていることも明らかになりました。このような不当な措置が行われてきたにもかかわらず、この損失については、すべて市民の血税で補っていくしかないというのが現状です。

    金尚範(キム・サンボム)行政1副市長は「セビッドゥンドゥン島は、市が進めた民間資本事業の中で最も問題の多い事業であり、事業の最初から最後まであらゆる手続きがきわめて不健全だ」と言いましたが、まさにその通りです。

    ところで、昨日のニュースでは、「今回のセビッドゥンドゥン島の監査結果に見られるように、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長は、吳世勲(オ・セフン)前市長の痕跡を消すかのような行動を続けています。このような行動をとることは、ソウル市行政の連続性を妨げるものであり、信頼を失うことにつながるのではなかろうか、という指摘もなされています」と報じられました。

    これほどの浪費、かつ、不健全な事業について、その間違いを是正し対策を講じることが、「行政の連続性を妨げるものであり、信頼を失うことにつながる」のでしょうか。このような事業について見て見ぬふりをしろというのですか。この報道はいかなる意図をもってなされたのでしょうか。まったく理解に苦しみます。

    私は、基本方針として、前市長の政策や事業はできる限り良い方向に受け継ぎ、補っていこうと努めています。李明博(イ・ミョンバク)元市長以降、ソウルを修羅場へと変えてしまったニュータウン問題、高建(コ・ゴン)元市長在任時に6兆ウォンから19兆ウォンへと増えた債務問題、これらへの対処のため、睡眠時間も削って悪戦苦闘しています。ところが、セビッドゥンドゥン島のように、明らかに間違いであった事業を正し、その対策を講じようとする努力に対し、「前市長の痕跡を消すかのような行動」だと非難されることには、全く納得がいきません。報道は、過去の事業の誤りを明らかにし、浪費的支出をなくしていく方向に、世論を導くべきではないでしょうか。




強制撤去はあり得ない

    一昨日の午後に帰国した私は、自分のツイッターからいくつか目を引く文章を発見しました。

    奉天(ポンチョン)12-1住宅再開発区域における23世帯の強制撤去が行われると衝突が予想される、龍山(ヨンサン)での惨事の悪夢を思い出すという内容でした。

    昨日読んだ朝刊のハンギョレ新聞には、関連内容の詳細な記事が載っていました。明け方でしたが、すぐさま秘書室長に電話をし、現場の状況を把握してくれと頼みました。もし、強制撤去が開始される予定だったら、他のスケジュールをすべてキャンセルし、現場に赴いて当事者の意見を聞いてみるという脅し(?)をしてまで、強制撤去中止への意思をはっきり伝えました。ソウル市の住宅問題を総括している住宅室長は現在現場に出向いており、すぐには撤去の措置は行われないだろうという報告を受けています。いったん、緊迫した状況は免れました。法律上ではもちろん強制撤去は可能な措置です。今まで条件さえ揃えられれば、強制撤去は数多く行われました。もちろん、時には住民が過度な要求をすることも、すでに移住した住民との不公平の問題が生じることもあります。すでに承認と許可が出ており、管理処分が行われている以上、ソウル市が強制撤去の他に取れる強制力にも限界があります。しかし強制撤去はあってはなりません。我々は龍山での惨事を経験しました。昨年、私は冬の間、強制撤去はしないと宣言しました。しかし、夏だから良いというわけではありません。最後まで話し合いをし、どれほど厳しい道のりであっても、合意のために最善を尽くすべきだというのがソウル市長としての私の信念です。行政の利便性のために、数十年住み慣れた場所から住民を強制的に撤去する過去の慣行は、変わらなければなりません。外国では、大規模な開発が行われるのに数十年掛かることも多いです。それは完全な合意を大切にするからです。私の力で最後まですべての住民を守ることができるかどうか、約束することはできません。しかし、私は自分の権限と力の限り、住民の利益、生活の安全、社会の信頼を守るために最善を尽くすということを、もう一度自分に言い聞かせています。




「お金では買えない物」の大切さ

    今朝、すごい方に会いました。かの有名なマイケル・サンデル教授です。ともに朝食を摂り、ソウル広場から市庁庁舎へと歩きながら会話を交わしました。途中で、ソウル広場の前でテントを張って暮らしている大学生や徳寿宮(トクスグン)前で抗議デモをしている双龍(サンリョン)自動車の解雇労働者に会いました。

    彼の著書『それをお金で買いますか-市場主義の限界』(韓国語題-お金では買えない物)は、韓国人のために書かれているのではないかと思うほどでした。それほど共感したのです。哲学書といえば、形而上学的なことについて論じるばかりで、抽象的で、非現実的であろうという先入観がありましたが、それが完全に崩れました。我々が直面している具体的で、かつ現実的な問題を表舞台に出して論争を誘導しているのです。彼の著書が韓国で数百万部も売れている理由はここにあります。

    それはまた、不正に対する怒り、正義への熱望がこの国に根強いからでもあります。韓国はこの本に書かれている「割り込み」が蔓延している国です。お金で買えない物はない国です。私も弁護士として働いたことがありますが、黒を白だと、白を黒だと言い張って、それが通るのがこの国です。金さえあれば何事も許される、という言葉がこの国では通用しています。

    サンデル教授はとくに、市場の機能に対する疑問について多く語りました。すべてが取引され、すべてがお金で交換できるとなれば、金持ちはさらに金持ちになり、他の社会的、かつ公的価値は崩れてしまいます。韓国社会は急激な経済成長に成功しましたが、浅薄な資本主義観、拝金主義、法治主義の崩壊、社会的信頼の低下など、深刻な副作用も経験しています。公正さや正義というものが見られなくなってしまいました。

    しかし、講義を聴くために雲集した聴衆と積極的に議論したマイケル・サンデル教授は、韓国社会は可能性があると高く評価しました。そうです、正義の通る社会になるためにはまだまだ遠い道のりですが、正義への熱望を持つ覚醒した市民が多いので、この社会にまだ希望はあります。ソウル市長として私も、大切な「お金では買えない物」を守り抜くため、最善を尽くしてまいります。




国際都市、ソウル-グローバル家族に夢と希望を

    本日6月9日の午後、ソウル明洞(ミョンドン)において、多文化家庭(国際結婚により作られた家庭)の抱える問題を聞き、解決策について話し合う「ソウルタウンミーティング」が開かれました。多くの多文化家庭(ある人は多文化家庭が差別的だといい、グローバル家族と命名しようという提案もありました)の人々が感じる問題、挫折感は大きなものでした。とくに東南アジアからの移住民への差別意識は深刻なものがありました。バングラデッシュから来た「ルナ」という女性は、ぞんざいな言葉遣い、蔑視が酷いと話しました。彼らに韓国語を教えることも大事ですが、何より韓国人に多文化主義について認識を新たにしてもらうことが優先されるべきです。彼らは就職にも大きな障害を感じており、そして何より子供の教育について悩んでいました。韓国の文化にも十分慣れていないのに、子供のために公教育のほかに私教育に大きな出費をする韓国人のようにはできないからです。彼らも夢を抱いて韓国にきた人々です。ソウルで貧困層に転落し、子供の教育ですら失敗してしまったら、彼らは何を夢見てこの国で生きていけるのでしょうか。ソウルに住む外国人はほぼ40万人に達しています。ソウルはすでに国際都市となっているのです。ソウル市もソウルグローバルセンターを設置し、彼らの力になろうと頑張っていますが、今日さらに、多様で、かつ具体的な政策アイデアをいただきました。彼らがより良い夢と希望を抱くことが出来るソウルをつくるため、頑張って行きます。2012.6.9




自転車とタクシーに乗ってきたヒーロー

    皆さんはどのようなタイプのヒーローが好きですか。ワンダーウーマン?スーパーマン?若しくはこの頃人気のアイアンマンですか。今日、私はソウル市の本物のヒーローをご紹介します。タクシーに乗ってきたヒーローと自転車に乗ってきたヒーローです。タクシーに乗ってきたヒーローは今年67才のソン・ボックァンさん。タクシーを運転して42年になるベテラン運転手さんです。毎日通る人の目にも留まらない間違った標識を見つけては知らせてくれるヒーローです。1980年からこのような活動を続けています。今まで数百件も見つけたそうです。この活動はシンプルな疑問から始まりました。「ソウルでタクシー運転をしている私がこれほど迷ってしまうのだから、他の人は言うまでもないだろう」という疑問です。自分が感じる疑問を発展させ、人々の不便を考え、社会のために行動する、ヒーローはこのようにして生まれたのですね。皆さん、ソンさんに拍手を。パチパチ。

    次は自転車に乗ってきたヒーローです。今年24才のイ・ミンホさん。「矢印青年」としてかなり知られていますよね。「朴元淳のソウルストーリー」という放送の時に実際お目にかかりましたが、格好いい男性ですよ。彼の活動は昨年の11月から始まりました。

    バス停にある路線図には停車場名は書かれていますが、どこを出発してどこへと向かうのか、その方向は印されていないので、利用者が混同するだろうとイ・ミンホさんは思ったそうです。イさんも自分が感じる問題から出発して人々の不便まで考えたのです。「他の人も不便を感じるだろう」と思い、バスの進行方向を示す赤い矢印のシールを貼り出しました。彼はオンライン上で「矢印青年」というあだ名で話題になりました。自転車に乗って矢印を貼り、現在まで、約700のバス停に矢印を付けたそうです。

    ところでイさん、どうしましょうか。人気の高いソウルバスのアプリの開発者ユ・ジュワンさん(この方もまたヒーローです。前回「朴元淳のソウルストーリー」に出演してくれました。ソウル市はヒーローでいっぱいです)の話によると、ソウル市内のバス停は約3万ヶ所あるそうです。

    しかし、イさん、ご心配なく。ソウル市がいっしょにやります。実はこのようなことはソウル市がやるべきでした。抜かりなくやるべきでした。ソウル市の不手際で市民の皆さんにご不便をおかけしたのです。もちろん、3万ヶ所の矢印作業をお願いすることはしません。イさんの将来の夢はボランティア活動を多くする企業に就職することだそうです。このような格好いいヒーローを雇ってくれる企業はありませんか。

    市民の皆さん、ヒーローにあったらご声援、よろしくお願いします。そして隠れたヒーローもどんどん見つけてください。ヒーローはソウル市の宝物です。




言わんこっちゃ無い

    私の朝は新聞を読むという日課から始まります。この余裕のひと時は、私にとって大きな喜びの時間でもあります。考えるべきこと、検討すべきことを選び、スクラップしておくこともあります。どれほど素早く判断しているのか、皆さんは見当も付かないでしょう。さりげなく自慢話しているの、分かっちゃいましたか。

    ところで、目に飛び込んだタイトルの記事がありました。「江南地域マンションの建て替え、小規模の割合が増えつつある」。言わんこっちゃ無い。今まで繰り返し繰り返し、力の限り言ってきたではありませんか。目先のことだけを考えるのではなく、真摯で、温かい目線で未来を見据えれば、誰でも分かることです。

    開浦(ケポ)住宅公社第2団地の住民の皆さん、よくぞ決断してくださいました。小規模住居の割合を増やしたそうですね。建て替えと分譲事業は上手くいくでしょう。ソウル市も最善を尽くします。ところで、私の退陣を要求する垂れ幕が掛かっていましたが、あの時、事業がうまくいったら責任を取って退陣要求について補償すると言っていましたね。今度は「朴元淳市長、マッコリでも飲みに来てください」という垂れ幕でも掛けてください。冗談ではありません。そんな垂れ幕が掛かった日には、本当に伺いますから。

    高徳(コドク)市営地区もそうです。組合が分譲申請の調査を行った結果、ほとんどが大規模より中・小規模を望んでいたそうです。早ければ5月には決まると聞きました。住民の皆さん、我々の未来を、温かい洞察の目でちゃんと見据えてください。ソウル市は住民の皆さんの決定をお待ちしています。

    家は我々の住居です。生活を表し、同時に素晴らしい住居は我々の生活を変えます。現在の韓国の不動産市場、人口の比率、家族構成、労働時間などをちゃんと考えてください。もしかして大金が稼げるかもしれない、という欲に駆られて大規模のマンションをずらりと建てても、今はどうしようもないのです。

    私には大きな悩みの種があります。恩平区(ウンピョング)ニュータウン事業の一環としてソウル市のSH公社が建てたマンション600世帯が売れ残っていることです。問題はこれらのマンションがすべて40坪以上の大規模だということです。現在、ソウル市の一人世帯と二人世帯は半分以上を占めています。その比率は次第に増えていくと専門家たちは口を揃えて言います。そうなると、マンションの需要は小規模が増えるしかありまえん。ところで依然として30坪、40坪、50坪のマンションが建ち続けていますが、そうなると恩平のマンションのような未来が待っているのみです。売れないのです。その責任は誰にありますか。4年も売れずに残っているそのマンションのことを考えると、腹が立って仕方がありません。一歩先のことも予測できなかった行政側のせいで、市民の血税が浪費されてしまったのです。これからは一歩でなく、二歩、三歩、いや十歩先のことまで考えた行政を行えるよう、努めてまいります。市民の皆さんからご協力いただけることを信じています。そうですよね?