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[2015] 市長挨拶

  • 新たなる決意、 忘れません。

  • [2015] 市長挨拶 SMG 705

    セウォル号事故一周忌と「安全対策点検会議」

    日付 2015年4月16日 | 場所 ソウル市庁会議室

    本日はセウォル号の惨事一周忌を迎える日です。一年前、未曽有の大惨事の前で、我々は痛恨の涙を流しました。海の中に沈んでいくセウォル号を見つめながら、無力な私たち自身を責め続けました。しかし、問題は未だに9名の行方不明者が、あの暗い海の中に閉じ込められているということです。真相解明と責任者追及も、依然として漆黒のような闇の中です。「遺族になることが願いだ」という行方不明者の家族らは、ペンモク(彭木)港を離れることができず、遺族らは路上で泣き叫んでいます。いったい政府と国は何をしているのか、問うています。

    多くの人々がセウォル号事故を機に社会が変わるべきだと、口を揃えて言います。それは意識の変化や社会の革新、国の改革を求めているということです。二度とこのような痛ましい事故を、残酷な四月の春を繰り返してはいけないと、固く心に誓いました。新しい社会、利益より人の命が優先される社会へと進むべきであり、そのためには大きな方向転換が必要であると強く思っています。そして、事故発生から一年が過ぎました。セウォル号は今我々に、もう一度このような問いを投げかけています。この一年間何をしてきたのか、今あなたたちはどこへ向かっているのか、と。

    米国の哲学者、ジョージ・サンタヤーナは次のように言いました。「過去を思い出せない者は、それを繰り返す運命にある」。独立運動家のシン・チェホ(申采浩)先生も、「歴史を忘れた民族に、未来はない」と言いました。問題は、「我々は忘れない」という言葉だけでは不十分だということです。行動で示さなければなりません。

    ソウル市もセウォル号事故の記憶から、決して自由になることはできないと思っております。これまでソウル市でもノリャンジン(鷺梁津)配水池の水没事故やサンワンシムニ駅の地下鉄追突などの事故が、繰り返し発生しました。最近のソクチョン(石村)地下車道の陥没を含め、市民と国民の皆様に大変ご心配をかけてしまいました。換気口、非常ドア、道路陥没…、このような命に直結する施設に、ソウル市が市民の安全を守るための万全な対策と備えを整っているかという質問について、私は自信を持ってお答えすることができません。

    もちろん、我々が事故の発生後から対策を立てて、様々な政策を展開していることも事実です。最近では工事現場の安全事故再発防止対策が作成され、成果を上げています。2013年ソウル市の発表があり、その年にソウル市発注の工事現場事故によって11名の死者が発生しましたが、2014年にはたった1名の犠牲者もいませんでした。建設工事の災害率も0.38%から1年で0.11%に低下しました。これは大きな進展だと言えます。

    しかし、私はこのような成果に満足したり、自慢したりすることができません。ソウルは一千万人の市民が居住しており、複雑な交通体系と建築物が密集する巨大都市です。老朽化した施設と山に囲まれた地形により、山崩れや洪水など安全を脅かす事故の危険性が、我々の周辺に数多く潜んでいます。高層ビルや多衆利用施設、地下商店街、子ども利用施設、コシウォン(考試院)、チョクパン村(極小部屋の並ぶドヤ街)など、普段から安全死角地帯に分類されるところが多く存在します。そして1970~1980年代の高度成長期に建てられたこのような建物は、築30年、40年、50年を経過しています。修理や補修、維持管理がさらに重要な時期に来ています。

    安全は我々にとって空気や水のような存在だと思います。普段はその大切さがわからず、事故が発生して初めてその大切さに気付きます。そのため、安全はどれだけ強調しても、しすぎるということはないと思います。

    ソウル市がそれこそ日ごろから安全に心がけ、実践していくべきだと思います。各分野別の安全管理マニュアルを作成し、迅速な状況発信がうまく図れるよう、もう一度点検してください。前に発生した小さい事故もすべて事後分析し、安全対応に万全を期すようお願いします。

    ある世界的な思想家はこのように言いました。「危機は、古いものは死につつあるのに、新しいものが生まれてこない状況」だと。それが危機的状況だと言いました。素晴らしい分析だと思います。従来のパラダイムはもう崩壊しつつあるのに、新しい時代、安全な時代を見据えたシステムは、まだ整っていないということでしょう。

    ドイツの後期産業社会の危機を分析したウルリッヒ・ベック先生は、我々の社会が高度産業化社会を経験しながら、色々な危機的要因、兆候に気付きながらも十分な備えをしてこなかったため、このような事故が日常的に発生していると指摘しました。セウォル号惨事一周忌を迎えて、もう一度気を引き締め、本当の意味での安全なソウル市をつくっていかなければならないと思います。皆様にとって本日の一周忌が、もう一度そういう部分を検証・分析し、対策を立てる場となるよう願っております。ありがとうございました。

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