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[2015] 市長挨拶

  • 「社会は夢を抱く人々のものです」

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    青春フェスティバル講演

    日付 2015年5月10日 | 場所 ソウルワールドカップ競技場

    皆様、こんにちは。お会いすることができて嬉しいです。学生の皆さん、「ソウルの巨大塵」パク・ウォンスンです。本日「私は宇宙の巨大塵だ、青春フェスティバル」で、多くの青年の皆様とお会いすることができて大変嬉しく、光栄に思っております。

    皆様、宇宙の星はどのように誕生したかご存知ですよね? 宇宙に浮遊する塵と塵が集まって「星」になるそうですが、皆様は「星」といえば何が思い浮かびますか。

    私はまず、サン=テグジュペリの小説、『星の王子さま』が思い浮かびます。小さな星から来た王子さまの純粋で澄んだ魂が自らの価値観や言動を振り返らせて、私たちの人生を省察させるほどの感動や共鳴を与えてくれるからです。特に、「砂漠が美しいのは、砂漠のどこかに井戸が隠されているからだ」という言葉が思い出されます。『星の王子さま』は、実は大人のための童話です。年を取れば取るほど、私たちは子供の時の澄んだ魂と青年期の純粋な心を失われがちです。その時、私は『星の王子さま』を再読しながら、王子さまの雪のような純粋で素直な心を振り返ってみます。

    「星」と言えば、もう一つ思い浮かぶものがあります。ドラマ「星から来たあなた」です。このドラマの主人公はチョン・ソンイ(チョン・ジヒョン)ですよね? ト・ミンジュン(キム・スヒョン)でしたでしょうか? とにかく、「星」から来たト・ミンジュンという人物は、純粋で魅力的な青年です。一人の女性を愛して、守ってあげたいという献身的な心が本当に美しいです。私たちの心の中にある「星」は、このように私たちを純粋で美しくさせるとともに、暗い夜空を輝かす存在です。

    ところで、これらの星は宇宙を漂う塵と塵が集まり、調和し融合されながらできるという事実は、私たちにいろんなことを考えさせてくれます。皆様、実は私も「星から来たあなた」ですが、どの星から来たのかご存知ですか? ソウル特「別(韓国語で「星:ピョル」と発音が同じ)」市から来ました。

    実は、私は皆さんに深くお辞儀をし謝罪して講演を始めようと思いました。私のような既成世代(一世代前)の大人たちが誤った結果、輝いて美しい人生を楽しむべき皆様が塵のように浮遊するのを見ると、非常に心が重苦しく辛いです。

    人々は、私が歩んできた道と今の私の姿だけを見て「成功した」と言いますが、私はそう思いません。世俗的な目で見ると成功したとも言えますが、私は決して自分が成功したとは思いません。考えてみてください。もし私が歩んできた道、私が市民社会で我が社会の革新のために試みてきた多くのことが「成功」していれば、今のような社会になっていたのでしょうか。青年の皆様が、今のように苦しい生活を送っていたのでしょうか。したがって、私は決して私が成功したと言えません。そして、私は常に新しい夢を抱いています。私が抱く夢は、今の社会とは少し違う、「もう一つの社会」をともに作っていくことです。みんながともに働き、ともに楽しみ、ともに幸せな社会を作るという夢です。

    夢の話になったので、私が幼い時から抱いてきた夢について、少しお話しさせていただきます。「また自慢話じゃないか?」、「気休めじゃないか?」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、私は生活する上でお互いの知恵と経験を共有すれば、より良い社会をともに作っていくことができると信じています。

    私は、キョンサンナム(慶尚南)道チャンニョン(昌寧)の田舎の貧困家庭で生まれました。田舎だったため学校もなく、中学校の時には近くの町にある学校まで徒歩で通いました。往復30里(約12km)の距離でした。実は、勉強は中学校の時から始めましたが、当時勉強に熱心だった理由は、農村で家族のために仕事ばかりをしていた両親を、少しでも喜ばせるためでした。

    しかし、私は高校入学の時に希望高校に落ち、浪人しました。その後、トランク一つで10時間以上の夜行列車に乗り、ソウルに上京しました。ソウルでは「巨大塵」のように、身動きせず黙々と一生懸命勉強しました。読書室では1ヵ月間靴下も全く履き替えず勉強ばかりしていたら、垢で足の裏が白くなり、感覚がなくなってしまったこともあります。

    結局、高校には入学しましたが、高校3年生の時にはあいにく結核性胸膜炎のため志望大学に落ち、また浪人しました。その後大学に入学したのですが、本当に嬉しかったです。しかし、喜びもつかの間でした。入学してから3ヵ月が経った頃、女子大学生と合コンもしながらも、当時は非常時局でしたのでデモにも参加していたのですが、5月のある日、デモをした理由で当局に逮捕されました。刑務所にも入り、学校からは除籍されました。当時、私は自分を恨みました。なんでこんなについてないのかと・・・

    しかし、刑務所に入ると、思わずに幸運がやってきました。刑務所はまるで「学校」のようでした。完全に勉学の雰囲気の中で、多くの本を読むことができました。『聖書』をはじめ、キム・ドンりの『巫女図』のような小説やマルクーゼの『理性と革命』のような社会科学書籍も読みました。その中でも、ドイツの法学者であるルドルフ・フォン・イェーリングの『権利のための闘争』は、20代の私に多くのインスピレーションと教訓をくれました。「権利の上に眠る者は、保護に値せず」という言葉や、「闘争の中でこそ権利を見出すべし」という言葉、「法の目的は平和であり、それに達する手段は闘争である」という言葉など、イェーリングが残した名言は、「参加」と「連帯」の重要性を教えてくれました。

    「刑務所からの読書」は、後日私が法律家になるために司法試験の勉強をはじめ、その後人権弁護士になり、市民運動家として多くの人々の権利を代弁する人生へと導いてくれました。若い時の本と読書、つまり人生の先輩たちから知恵と経験を学び取ったことで、どのような人生を送るのか、どのような人生が良い人生なのかについて考えるようになり、私の人生を自ら決定し行動に移させてくれた、人生の羅針盤のような存在、灯台のような存在になりました。

    その後も迷いや混乱、孤独で苦難な時間が、私の20代の大半を占めました。振り返ってみれば、当時の私が負けずに乗り越えてこられたのは、「夢」を失わずにその「夢」を育んできたからだと思います。

    何よりも私は、先輩たちの「単なる成功者になるより、真に価値のある人間になるよう努力すべきだ」という言葉や、「地位より重要なのは、どのような仕事をやり遂げ、どのような仕事をするのかだ」という言葉を信じて、私はどのような仕事をすべきなのか、価値のある仕事は何かを、最優先に考えてきました。

    その後、様々な職業を体験し、きつくて人から敬遠される仕事に人生の青春を捧げました。例えば、前途有望な検事の仕事を辞めて、人権弁護士の道を選んだことや、韓国では未開の領域だった市民社会団体で、市民運動家として寂しく活動を行いました。ソーシャルデザイナーとして社会革新のために公益財団を設立し、我が社会と共同体を革新するために青春を捧げることができた背景には、このような信念がありました。

    そして、今私はソウル市長になり、皆様とともにいます。振り返ってみれば、私が抱いてきた夢と私が歩んできた道は、今より良い社会へ向かう熱望であり、ともに幸せな「もう一つの社会」を発見し築いていきたいという旅程だったと思います。

    私は今も変わらず、その道の上に立っていると思いますが、今は以前より明確で、より確実な目標を持つようになりました。皆様、市長として今の私の夢は、何だと思いますか? それは、市民の夢とともにあることです。青年の皆様の夢を実現させることです。皆様の夢に向かって、最後まで一緒に前進することです。

    そのためソウル市は、青年の皆様が自由に夢を抱き、力を発揮し、想像し、挑戦できるように、皆様だけの時間と空間を設けようと努めています。ウンピョン(恩平)区にある「ソウル革新パーク」をご存知ですよね? そこには「ソウル市青年ハブ」を作り、それ以外の複数のところには「青年空間無重力地帯」を作って、青年たちがお互い協力できるようにし、新しい道を開きつつ彼らの夢を応援しています。

    また、ソウル市は「青年庁(仮称)」を作って、青年の皆様が自由に食べて、働いて、会話して、睡眠を取ることができる空間(建物)を造成する計画です。さらに、自治体では初めて「ソウル市青年政策委員会」を設立し、私を含む公務員や各界の専門家、青年代表が集まって、「青年政策ビジョン」を作っています。来る7月には、青年たちがソウル市政にもっと積極的に参加できる、「ソウル青年議会」も開催するつもりです。

    皆様、私たちの周辺には、厳しい環境の中でも革新的なアイデアと情熱的な行動力を発揮しながら、自分の夢を実現している青年たちがいます。特に、経済的方式から社会問題を解決する「ソーシャルベンチャー(social venture)」分野は、挑戦意識の高い青年たちが必要とされています。実際に、木を植えて森を造成しながら収益を創出する会社があります。「イ・ヒョリ森」などがそれです。ファンの方々が会社を通じて芸能人に森をプレゼントすれば、そこに木を植えて森を造成し、木が成長すればその収益金を投資者に返す仕組みです。

    最近では大学生や外国人留学生などが下宿の代わりに、新築の共同住宅で生活をする「シエアハウス」形態の住宅事業も、人気を集めています。

    また、我が国はIT分野に大きな潜在力があります。最近3Dプリンターを活用して様々な事業を試みる青年ベンチャー起業家が増えており、スマートフォンの普及に合わせてモノのインターネット(I.O.T:Internet of Things)など、IT分野におけるブルーオーシャン領域は、挑戦的な若い青年人材を待っています。

    また、「ソウル市青年革新活動家」事業は、既存の青年インターン事業を一変させた、革新的な雇用支援事業ですが、青年たちに関する社会サービス企業、例えば共同組合や共有企業、村の企業、NPO(非営利民間団体)などが、青年たちを選抜して1年間雇用します。青年たちは、働きながら自分の能力を向上させることができます。1年後には該当企業の正社員になることもあり、友だち同士で意気投合して、新しい会社をスタートさせることもあります。

    皆様、私は青年とは夢と挑戦の別称だと思っております。夢を抱いて挑戦すること、これが青年の特権だと思っています。ところで、今皆様が直面している現実は、それほど甘くはありません。環境も決して良くありません。大学入学も難しく、入学できたとしても高い授業料という問題に直面します。大学の成績や英語力、資格と経歴などのスペックを積み重ねても、就職活動に成功するのは難しい状況です。ようやく就職できたとしても、そのほとんどが非正規社員であり、相次ぐ残業や会食などで生活はかなり大変です。マイホームが難しいから結婚も諦め、出産も諦めます。未生(不完全な生活状態)が私たちの生活を苦しめています。

    しかし、皆様! いくら難しくて苦難な状況だとしても、私たちは「夢」まで諦めてはいけません。

    私たちには、夢を抱く権利があります。夢を実現する権利があります。幸せになる権利もあります。そのため私たちは夢を抱き、挑戦しなければなりません。皆さん、私には夢があります。皆さんの夢とともにあること、「もう一つの社会」を作っていきたいという夢です。私はこの夢を青年の皆様とともに抱き、ともに享受したいです。皆様、皆様は決して一人ではありません。本日多くの方々がお越しくださったように、皆様がともに協力し、参加し、連携していけば、不可能なことはないと思います。

    ともに抱く夢は、現実になります。塵と塵が集まって、「星」になります。皆様、今隣にいるお友だちの手をつないでみてください。そして一緒に両手を挙げてみてください。塵と塵が集まりました。塵と塵が手をつなぎました。

    皆様、ともに夢を抱きましょう。ともに前進していきましょう。ともに輝く星になりましょう。「ソウルの巨大塵」の私、パク・ウォンスンが皆さんの友だちになって、ともに協力していきます。ありがとうございます。愛しています。ありがとうございました。

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