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[2015] 市長挨拶

  • 「共に幸せな人の特別市ソウル」の夢

  • [2015] 市長挨拶 SMG 1,917

    パク・ウォンスンの福祉成長論:福祉が成長であり、未来です。
    政策エキスポ基調演説
    日付 2015年4月7日 場所 国会議員会館大会議室

    市民の皆様、お会いすることができて嬉しいです。薄紅の桜が街を華やかに彩っています。ヨイドは桜を満喫しようとする人々でいっぱいです。しかし、本日私は私たちの時代の暗い現実と不都合な真実についてお話ししようと思っております。

    去年2月、ソンパに住んでいた母娘3人が、「本当に申し訳ございません」という悲しいメモと70万ウォンを残してこの世を去りました。去年10月には東大門区で退去を前にした一人暮らしの高齢者が、「ありがとうございます。クッパ一杯でもお召し上がりください」というメモと10万ウォンを封筒に入れて命を断った事件もありました。去る3月にアンサン(安山)では生活苦を悲観していた某氏が練炭に火をつけて自殺をし、また先週には永登浦区に住んでいた賃借人が5ヶ月分の家賃を支払うことができず、部屋に火をつけた後、屋上から飛び降りて死亡しました。

    統計庁が発表した2013年度統計によると、毎日39.5人が自殺をするそうです。一時間に約2人が自殺するとの話です。そして2013年には1万4千4百27人が貧困と生活苦等で自ら命を断ちました。数日前、イエメンでは内戦で500人余りが死亡したそうです。イエメン内戦による死亡者より28倍も多い人が我が国では自殺で死んでいます。皆様、これは戦時状況です。災難状況です。戦争や災難でもないのに、どうしてこのように多くの人が死んでしまうのでしょうか。

    人口減少はもう一つの苦しい未来を予告しています。出産率は1.2人で世界最低の水準であり、50年後高齢者の人口は全体の40%に迫ります。生産人口1.2人が1人の高齢者を扶養しなければならない超高齢社会が目前に迫っています。

    労働時間はまたどうですか?労働時間はOECD国家の中で1位ですが、生産性は23位に過ぎません。一生懸命に働いてはいますが、生産性は減っており、ろくに休みも取れない現状に、疲労が重なるという疲労社会の典型になっています。

    成長は低迷し、社会葛藤は深化しています。10年間国民所得は2万ドル代でとどまっており、国民総幸福量(GNH)は最も低いです。貧困と不平等が受け継がれて身分移動の道が遮断された結果、若者たちは希望を失い、社会は不安社会の道へ進んでいます。このような状況で創造経済や国民統合等はとんでもない話です。

    市民の皆様、これは決して個人の責任ではありません。個人に転嫁できる問題ではありません。私たちが共に解決して行かなければならない問題です。私たち政治家が「臨戦無退」の覚悟で臨まなければならない問題です。

    私たちの前に迫ってきたこの巨大な挑戦課題を解決する方法は様々でしょう。しかし、答えは意外にも単純です。福祉です。福祉は私たちの時代の貧困や不平等、格差問題を解決できる唯一の方法です。福祉は国民の総幸福量を高め、新しい雇用を創出します。余裕と省察を可能にして、想像と創造の条件を作ります。葛藤を減らして統合を高めます。

    ほら、見てください!世界の先進国、豊かな国々を見ると、どの国を問わず福祉をせずに豊かな国はありません。福祉をせずに成長した国もなければ、福祉をせずに幸せな国もありません。北ヨーロッパを見てください!ドイツとフランスを見てください!いいえ、ほとんどのOECD国家を見てください。これらの国々が持続的な経済成長の原動力を維持して社会的統合と国民の総幸福量を高める戦略のキーワードは「福祉」です。

    市民の皆様、遠くから答えを探す必要はありません。ソウル特別市が好循環構造のモデルを作っています。福祉に投資することで市民たちの生活の質を高め、それと同時に都市の競争力も共に高めています。市民たちは幸せとなり、都市はグローバルと未来へ前進しています。

    私はソウル特別市長就任の弁として、「市民の生活を変える『福祉特別市長』になる」と宣言しました。それから4年後の2015年、ソウル市の福祉予算はソウル市全体予算の34.3%(7兆8千億ウォン)を占めるようになりました。2002年と比べると、金額は6.3倍、比重は2.9倍も増加しました。増加された福祉予算は市民の生活の質を高めることはもちろん、ソウル市の質的成長を導く重要な基礎となっています。むしろ福祉支出が直接生産と付加価値誘発効果を上げ、雇用創出の効果も大きく上げることが確認されました。

    ソウル研究院が2013年12月に発行した「社会福祉財政支出の社会・経済的効果」という研究報告書を見てください。2013年にソウル市は6兆285億ウォンの社会福祉予算を支出しましたが、その結果、支出費用の2倍以上に当たる14兆112億ウォンの生産誘発効果と15万4千人の雇用効果をもたらしました。

    福祉が無料や浪費でなく、我が経済を動かして成長の土台となり、生活の質を高めるという事実が証明されたのです。直接的にも間接的にも生産力を増大させ、雇用を創出するという事実が証明されたのです。皆様、これでも福祉が浪費でまた消耗ですか?

    福祉は人への投資、未来への投資、持続可能な共同体への投資です。過去3年間、福祉特別市を目指して航海を始めたソウルは、実際に市民の生活に新しい変化の花を咲かせました。

    2011年11月、私は「子供たちの一食のご飯には大人たちの経済的不平等と差別が入ってはならない」という原則の下で、環境に優しい無償給食費を支払うことで私の任期を始めました。2011年19万8千人余りに過ぎなかった給食支援は小中学校に全面拡大され、去年だけで72万9千人余りの学生たちが差別なく、体に優しい食事ができるようになりました。

    ご飯はお腹を満たすだけにとどまりません。皆が食事を共にするということは共同体を経験して学習する真の教育です。食事教育が教育の中で最も重要な教育です。皆様、これが浪費でまた消耗ですか?

    全国で初めて実施した「半額授業料」はどうですか?保護者たちにとっては大きな経済的負担となっており、大学生たちを借金の山に駆り立てた殺人的な大学授業料は、大学生たちがアルバイトを余儀なくされ、その結果、学習権まで侵害される場合が多くありました。「半額授業料」を実施した結果、ソウル市立大学は認知度が上がりました。優秀な学生が増え、名門大学として跳躍しました。ソウル市立大学の「半額授業料」は全国186大学の平均授業料の値下げに導きました。授業料の負担を軽くした学生たちは才能寄付を通じて地域社会に貢献し、殺人的なアルバイトから脱皮して自ら未来を開拓するために海外研修やワーキングホリデーを体験することもありました。皆様、これが浪費でまた消耗ですか?

    ソウル市民であれば誰でも無差別に享受すべき「ソウル市民福祉基準」は、市民と共に作った全国初の市民福祉基準です。この市民福祉基準を実現するためにソウル市は102個の事業を実践しており、この中でソウル型基礎保障制度は中央政府が見逃した福祉の四角地帯で苦しんでいる市民のための政策です。1年6ヶ月の間この制度を実行した結果、ソンパの母娘3人のように苦しんでいた生活保護費非受給の貧困層5万5,000人余りを支援しました。ソウル型基礎保障制度はこの方々を救援する生命線でした。これが浪費でまた消耗ですか?

    非正規職の正規職化でソウル市庁の非正規職清掃員として働いていたイ・キョンジャ氏は夢に見ていた正規職員になりました。65歳の定年を保障してくれる「準公務職」の身分証明書を見て涙を流しました。ソウル市の職員7,000人余りがイ・キョンジャ氏のように大きく喜びました。これが浪費でまた消耗ですか?

    脳卒中を患っていたイ・ジョンジャ氏は全国で初めて施行されたソウル医療院の「患者安心病院」を通じて新しい生命の希望を取り戻しました。一般病院で長期間入院しながら毎月約200万ウォンの介護者費用の負担に耐えられず、適切な治療を受けないまま「患者安心病院」に移動し、その後健康や生活、そして希望も取り戻しました。過去2年間、19万5,400人余りの市民たちがソウル市の公共医療に恵まれました。これが浪費でまた消耗ですか?

    ソウル医療院の「半額応急診療費」と「半額葬礼費」政策は今すぐお金がなくても先に診療を受けて事情によって医療費を分納できるようにした制度で、お金がないとの理由で治療を受けることができない人は存在しないというソウルの道を開きました。これが浪費でまた消耗ですか?

    ソウル市は、「子供は国家が育てなければならない」という哲学を持って保育の公共性を強化しています。現在我が国の国公立保育園の比率は5%に過ぎません。これで出産率を高めることができますか。過去3年間ソウル市は国公立保育園296か所を拡充して、これから1,000か所を拡充しようと努力しています。これが浪費でまた消耗ですか?

    ソウル市は高齢化にも先制的な対応をしています。全国で1,100万人に達し、ソウル市民10人中約2人の高齢者(50〜60歳)のための雇用、福祉、教育が一緒に行われる「50+キャンパス」と「人生二毛作支援センター」をソウルの至るところで開催しています。高齢化に対応するための先制的な投資はこれから支払わなければならない大きな社会的費用の節減をもたらしてくれます。皆様、これが浪費でまた消耗ですか?

    一人の力だけでは体も動かすことができない重度障害者や、火災現場で誰にも助けてもらえないまま全身が丸焼けとなり、命を失った方々に対して24時間活動支援をすることが浪費でまた消耗ですか?障害者や体が不自由な高齢者たちの面倒を見なければならないため、一度も家族旅行に行ったことがない方々に2泊3日の家族旅行の機会を与えるのが浪費でまた消耗ですか?0歳から12歳の子供たちが発達の質的展開期に主治医から診療を受けられるようにして、健康状態を見て管理してくれるのが浪費でまた消耗ですか?私は21世紀の時代に私たちに最も必要なのは、医・食・住、つまり医療と食事そして住宅だと思っております。特に、市民の健康を管理する医療は国家競争力の強化のためにも国家や政府が必ず助けなければなりません。ソウル市が700億ウォンの赤字を甘受してまで13か所の私立病院を運営して貧困で苦しんでいる市民たちに健康権を保障することが浪費でまた消耗ですか?

    財政問題を挙げて福祉に反対する方々に聞きたいです。「4大河川整備事業」で河底を掘り返したことでなんと22兆ウォンの予算が使われましたね。もしこれを復元するとしたらその費用だけで85兆ウォンがかかるそうです。22兆ウォンだとすれば、毎年結婚する新婚夫婦22万人に2億ウォンのアパートを一軒ずつ無料で提供できます。全国の保育園全部を国公立化することが可能で、65歳以上の500万高齢者に毎月36万ウォンずつ1年間払うことになっても残る金額です。「4大河川整備事業」こそ浪費でまた消耗ではありませんか?

    ある人々は福祉の拡大が財政健全性を害してまた国を滅ばせてしまうと主張します。しかし皆様、ソウルを見てください。福祉予算をこれだけ増やしてもソウルの債務は過去3年間7兆5千億ウォンが減縮され、公共賃貸

    住宅8万号がさらに建設されました。都市競争力のパワー指数は世界6位で、浮上する金融都市には10位以内に入りました。

    外国人観光客は1,200万人に迫っており、観光の王であるマイス都市順位では4位に上がり、「会議しやすい都市」として世界1位に選定されました。ソウルは市民の福祉や生活の質と幸福量を高めながらもグローバル都市としての都市競争力を持続的に上げています。ソウルは言葉ではなく行動で示しています。

    変化はこれからです。ソウル市は行政革新と福祉伝達体系の革新によって福祉パラダイムの転換を実現しようとしています。公務員の勤務空間だった洞の住民センターを住民の疎通空間に革新して「訪ねてくれる住民センター」でなく、「訪問する住民センター」に変えます。福祉のハブとして生まれ変わります。もう今年の7月になれば、ソウル市は全国で初めて0歳から2歳までの幼児たちと65歳及び70歳の高齢者を訪問する普遍的福祉サービスを行います。訪ねてくれる貧困層だけを保護していた従来の福祉パラダイムを乗り越え、人生の転換期にいる市民ならば誰にでも公共が先に訪問して一緒にしてくれる普遍的福祉のサービスが展開されます。

    ソウル市はこれからも市民の生活の変化を持続的に維持し、同時に質的完成度を高めながら持続可能な未来のために一層堅固な福祉生態系を構築していきます。そして最後にはソウルが幸せな都市と前進していく土台にしたいです。これが、「共に幸せな人の特別市ソウル」の夢になります。

    市民の皆様、世界的な福祉国家モデルの基礎を固め、設計したスウェーデンのペーション元総理は福祉国家の10大条件を提示したことがあります。その中で一つが全国民を対象とする普遍的福祉の場合は、中央政府が負担し、地方政府にはその責任を転嫁しては行けないことでした。しかし、残念ながら今日大韓民国の中央政府は、無償教育や基礎年金等、全国民を対象とする普遍的福祉を地方政府にその責任を転嫁しています。無償保育の場合、実際に誰がその金額を負担していますか?ソウル市の場合、無償保育にかかる予算の65%をソウル市が負担しています。それでも政府は、「政府が無償保育を負担している」と主張しています。これが真の福祉だと言えますか?人間的尊厳性と幸福の増進は中央政府と地方政府の意見が一致して初めて実現されることです。

    しかし、国家事業は基本的に中央政府がより大きな責任感を持って、より大きな責任を果たさなければなりません。全国民を対象とする無償教育や無償保育、そして基礎年金のような普遍的な福祉は中央政府が積極的に乗り出さなければなりません。一方、地方政府は中央政府が見逃しやすい細い心遣いや市民の生活の詳しい部分と関連する福祉を担当しなければなりません。

    このようになって初めて真の地方自治の夢が実現され、市民の生活にも変化を呼び起こすことができます。市民が幸せになれば、都市が幸せになり、都市が幸せになれば、国家が幸せになります。

    今や福祉は選択の問題でなく、当為の問題です。理想ではなく、現実の問題です。我が社会が産業化と民主化を乗り越え、新しい時代に前進していくためには新しい想像力と価値の新しい大転換を実現しなければなりません。人間の尊厳と実存を守り、人間らしい生活を実現しながら共に幸せで持続可能な共同体の道を模索して行かなければなりません。私はその中心に福祉があると思っております。

    人生を生きながら誰にも機会が与えられるように、誰にも危機が訪れます。貧困層が中産層に上ることができれば、中産層が貧困層に落ちることもできます。福祉は「機械」を与えながら、「危機」に落ちた人々には手を差し伸べてくれる最小限の社会的な安全網です。福祉は社会的な責任でありながら共同体の所属感と結束力を固めてくれる信頼と連帯の砦です。

    食事をする度に、両親の貧困を浮かべながら食事をする子供は劣等感や羞恥心を感じるはずです。これは尊厳な人権を持つ一人の子供に対して拭いきれない傷をつけてしまい、社会的な信頼や連帯の結束力も弱化させます。

    その点から見ると、今慶尚南道で発生している現状は本当に恥ずかしいことです。どうして学生たちに食事も与えずに勉強しろと強要することができますか?福祉は決して選挙や政治的目的に悪用されては行けません。選挙を意識してまた政治的な理解関係を意識して福祉を悪用しては行けません。福祉は純粋性と人間の尊厳性のため、差別と貧困を克服するため、市民の幸福のために投資しなければならない貴重な資産です。

    何より福祉は恩恵ではありません。無償給食は結局、人間に対する哲学の問題です。人間として当然に享受しながら人間らしく生きる権利である人権が普遍的であるように、人間のための福祉も普遍的なものでなければなりません。保育と教育は人間であれば誰でも享受すべき権利であるために、食事と教育の前で差別があっては行けません。「食事の民主主義」を実践することが真の民主主義を実践することです。

    去年、経済協力開発機構(OECD)と国際通貨基金(IMF)等は、「不平等は経済成長の障害」として、思考の大転換を示してくれました。これから私たちも思考の大転換を実現しなければなりません。福祉は浪費や消耗、恩恵ではありません。福祉は人と未来に対する投資です。これから私たちは福祉を基盤として新しい成長を実現し、創造経済を実現し、その成果を共に分配しなければなりません。

    したがって、福祉は経済であり、成長であり、分配であり、民主主義であり、人権であります。

    今すぐにでも私たちはなぜ、福祉国家に進まなければならないのかについて、より根本的で深度ある通察をして対国民討論の場を設けなければなりません。そして、「福祉成長論」という談論を社会的なアジェンダにしなければなりません。ありがとうございました。

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