• 韓国のデザインのメッカ トンデムン(東大門)デザインプラザ(DDP)

    SMG 626
    • ニューヨーク・タイムズ「2015年にぜひ行くべき世界の名所52選」に選定
    • ソウルを代表する多様なコンテンツ…トンデムン・フェスティバル、ソウル・ファッション・ウィーク、ソウル・デザイン・ウィークなど
    • シャネル、ディオール、オメガ…世界的なファッション・ブランドの展示会場、海外ロケスポット人気No.1
    • 開業1年6カ月で累積来場者数1,265万人…周辺に観光ホテルや大手免税店が急増

    DDPの歴史と現在

    ニューヨーク・タイムズの「2015年に行くべき世界の名所52選」に選ばれたDDP。幾多の試練を乗り越えて現在の姿を整えたDDPは、韓国のデザインのメッカとしての地位を確立しつつある。

    1925年、日本の裕仁皇太子の結婚式が挙行された日。朝鮮を植民支配していた日本の天皇は、愛する息子のために特別な贈り物を用意する。朝鮮時代、地形が低く頻繁に外敵の侵入を受けていたため軍事訓練場「訓練都督」が置かれたトンデムン地区を、土で埋め尽くし、「キョンソン(京城)運動場」を建設したのだ。

    完成当初の名称は「キョンソン(京城)運動場」で、韓国独立後は「ソウル運動場」に、そしてソウル五輪を機に「チャムシル(蚕室)運動場」が建設されると「トンデムン運動場」に改称された。こうして、数回にわたる改称を経て「トンデムン(東大門)運動場」が誕生した。

    当時、アジア最大規模の競技場だったトンデムン運動場は、大韓民国の近現代スポーツの聖地として、アジア競技大会や全国体育大会で陸上競技やテニス、バレーボール、競泳、卓球といった競技が行われた。プロサッカーやプロ野球などの開幕試合も行われ、首都「キョンソン」(現在のソウル)市民のみならず、国民に親しまれるスタジアムになった。

    しかし、ときの流れとともに老朽化による欠陥が進み、競技場としての寿命を迎え、客足が途絶えた。スタジアムは駐車場と化し、商人がゴザを敷いて商売をする蚤の市となった。

    そうした中、衰退した運動場を再び蘇らせようという議論が巻き起こり、DDPの建設が決定した。5年間にわたる作業の末、2014年3月21日、ついに開業した。

    尽きることのないコンテンツ

    行政自治省による調査の結果、DDPは2014年の1年間で最も多く利用された公共施設であることがわかった。開業から1年6カ月の累積訪問客数は1,265万人にのぼる。また、合わせて194件のコンテンツを運営しており、トンデムン・フェスティバルやソウル・ファッションウィーク、ソウル・デザインウィークなどは、DDPを代表するコンテンツに定着した。

    DDPの最大の魅力は、韓国を代表する文化芸術の拠点として、これほど多くのコンテンツを運営していることだ。同じものではなく、常に多様で新しいコンテンツを発掘し、多くのリピーターを獲得している。

    DDPは、5つの施設と15の空間で構成された、世界でも類を見ない巨大複合文化空間で、展示やフォーラム、アートフェア、ローンチングショー、イベントなどが開かれている。「ICLEI世界総会」「世界デザインフォーラム」「APD(Asia Package Design)SEOUL 2015」といった国内外屈指のアートフェアやフォーラム・イベントが開かれた。

    韓国デザインの原型を紹介する「カンソン(澗松)文化展」や世界的なファッションブランド展示「文化シャネル」と「ディオールの精神」、そして「オードリーヘップバーン」や「アンリ・カルティエ=ブレッソン展」「アンディ・ウォーホル」など有名芸術作品の展示も行われた。

    他にも、「オメガ」や「ロールス・ロイス」「ヒュンダイ(現代)自動車アスラン」など世界的なブランドのローンチングショーやイベントも頻繁に開かれている。

    さらに、春と秋に開かれる「ソウル・ファッション・ウィーク」は、多くのファッションピープルとバイヤーたちを呼び込み、トンデムン・ファッションのブランド価値をさらに高めている。東京デザイン・ウィーク、北京デザイン・ウィークとともにアジアを代表するデザイン・ウィークへの飛躍を目指している。また、衰退するトンデムンの活性化に向けて2014年に始まった「トンデムン・フェスティバル」も、地域共生のイベントに定着し、観光客の呼び込みに大きく貢献している。

    アートスポット「DDP」、ロケ地人気No1

    シャネルやディオール、オメガといった世界的なブランドが展示やイベントを開くアートスポット「DDP」は、CMやドラマなどのロケ地としても人気No1だ。

    DDPに行けば必ず有名人に会えるといわれるほど、世界的な人物が訪れる場所の一つとなったDDP。ハイエンドスタイルを追求するシャネルやディオール、オメガ、ロールス・ロイスといった世界的なブランドが、自社のブランド・イメージをアップさせるための展示やイベントの会場として頻繁に使用するため、自然に多くの有名人が集まってくる。

    デザインという先端のイメージとトンデムンという大衆的なイメージが融合したDDP。企業各社は自社のPRと作品の展示を同時に果たせるユニークで唯一の施設と評価している。

    トンデムン地区を訪れる人が年間250万人に上るほか、DDPの設計者が世界的な建築家ザハ・ハディド氏であることも、企業にPR効果をもたらしている。世界的なブランド各社がDDPにこだわるわけだ。

    複雑な構造から、DDPの中で道に迷ってしまうこともあるかもしれないが、そのユニークさを買われ、米Netflixのドラマ「Sense8」やMBCのバラエティ番組「無限挑戦」とドラマ「運命のように君を愛してる」「彼女はキレイだった」、SBSドラマ「星から来たあなた」、KBSドラマ「プロデューサー」など、国内外150件余りの人気番組や映画、CMなどの収録が行われた。

    周辺の商圏にも変化の兆し

    そうした効果のおかげで観光ホテルが急増し、大手免税店が相次いで出店している。週末の流動人口は以前に比べ24.3%増加し、周辺の商圏にも大きな変化の兆しが見え始めている。

    特に、韓流ドラマのロケ地として活用されるDDPは、韓流スターが実際にいた場所で収録当時の雰囲気を肌で感じようと、中国や日本からの観光客が後を絶たない。特に、夜景の美しいLEDバラ庭園は、CMやドラマのロケ地として人気No1であるだけでなく、カップルや家族連れにも親しまれ、ソウルのベスト夜景スポットとなった。

    一時はスポーツのメッカだった場所にDDPという文化芸術施設が建てられたことで、多くの文化人や芸術家、観光客が訪れている。若い世代だけでなく家族連れも多い。

    ダイナミックなカラーに塗り替えられているトンデムン。衰退を深めていたビルバオがグッゲンハイム美術館によって蘇り、スペイン・バスク地方の経済を復興させたように、トンデムン地区も、DDPによってかつての活力を取り戻すかもしれない。多くの人にとって、それは遠い夢ではない。