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希望日記

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  • 朴元淳より、市民の皆様へ

  • SMG 1421
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         市民の皆さん、こんにちは。

         市長の朴元淳(パク・ウォンスン)です。

         先日、就任100日記念の記者会見を開こうといわれましたが、やめなさいと伝えました。でも、過ぎてみるとちょっと残念になります。そこで手紙を書こうと思い、こうしてパソコンの前に座っています。すると、改めて皆さんが思い出され、懐かしくなります。

         皆さん、幸せですか?

         市政というものはどのようであればよいのか。私が抱いているのは、でかでかとしたスローガンを叫ぶ場所ではなく、疲れた暮らしの中で市民の皆さんの友になれたらいいという気持ちです。そのような思いで働き始めたのですが、私は少しでもお役に立てているでしょうか。

         先週は、市長就任後最も大変な1週間でした。私が始めたことではないといっても、庶民の生活に直接影響を及ぼす「公共交通機関の料金値上げ」を発表しなければならなかったからです。誰かに代わってもらうようなことではないので、私が直接発表を行いました。誰のせいでもありません。申し訳ありません。慰めや励みとなる市長になれず、本当に申し訳ありません。政府の長官(大臣)と同じように、市長も公共に対する無限的な責任を負う立場であるのだということを改めて知ることになった時間でした。

         選挙が終わった翌日すぐに市長に就任したのです。それから100日が過ぎましたが、既に数年が過ぎたように感じられます。ソウル市の仕事をしてみると、まず事案が複雑かつ利害関係が様々で、全員を満足させることが本当に難しいのだなということが分かりました。場合によっては怖かったり、辛くもあります。しかし、私一人が辛くても、その辛く困難な決定が市民に幸せをプレゼントし、世の中を変えることになるのだと考えると、その辛い気持ちはあっという間に消えていきます。通勤途中がドキドキワクワクするほどです。すべきことを考えると、本当に胸がときめきます。私が徹夜していることを知ったら職員が気を使うと思い、何度かこっそり市長室にこもって徹夜したこともありました。

         毎日毎日、新しい局面にぶつかります。しかしそれは、以前から備え、準備してきたことではないかという気がします。公共の利益、市民の幸せのためになることをするのが、私には体にぴったりの服を着たような感じになります。そんな時は仕事がどんどんしたくなります。時には、中央政府とも葛藤が生じることがありました。

         国土海洋部長官、外交通商部長官、企画財政部長官がソウル市を非難したこともありました。悔しかったですが、怖くはありません。我々自らが仕事をきちんとしているのか、ということが怖いだけです。

         どうしてでしょう。以前はソウルと聞くと、私は化石化した恐竜を連想しました。人々の元気がどんどん無くなっていくようで不満でした。正直いって、ソウル市の新庁舎を見ると、私も萎縮します。ソウルの人々があの空間を快適に、我が家のように出入りできるだろうかという気がするからです。

         スローガンを大きな文字で書いて叫んでも、ソウルの人々の暮らしが良くなるわけではありません。

         大きな建物を建てて偉そうにしても、大規模なイベントを広くPRしても、ソウルの人々の暮らしが良くなるわけではありません。

         誠実で正直な人々が素朴な夢を見られるような、そんな市の市長になりたいと思っています。代わりに夢を作って差し上げることはできませんが、人々が夢を見られる環境と条件を作って差し上げられるような人になりたいと思います。新しい人生に挑戦しようとする若者の夢を聞いてあげられるような人になりたいのです。

         ソウルの人々が、再び夢見て暮らしていけるように支援する「ペースメーカー」になりたいのです。「人々のために、市民と共に」は、私が市長の職責を果たすための原則であり哲学です。人のために都市が変わることが正しいのであり、市民という位置が最も大切な地位にならなければなりません。

         目前に迫ってきたことから、きっちりと解決していきます。すぐに変えられることは、電光石火のごとく変えていくつもりです。ソウル市民の投票により決まったソウルの市立大学の授業料半額化と無料給食の拡大が実現しました。これらの実現には、障害が無かった訳ではありません。福祉に関しては金城鉄壁のような議論があったのですが、それが様々な所で変わっていくのです。こういうことを見ていると、本当に嬉しくなります。「バタフライ効果」という言葉がありますが、私はこれを「投票効果」、「市民効果」と呼びたいと思います。

         こうして、世の中が変わっていくのです。

         今年のダボス会議のテーマは、「巨大な転換、新しいモデルの形成」でした。壊れかかった資本主義に対する別の考えがうごめいていました。私も夢を見ます。当面の懸案を一生懸命に解決しながら、これに対処しつつ巨大な変化への準備も怠ってはならないと思います。一滴の水が、徐々に石を通り抜けて自然に大地を潤すように、ひとつひとつ、大きな変化を図るべきだと思います。

         過去10年が都市のために人を犠牲にしたのならば、今後の10年は人のために都市を変化させなければなりません。長い間考えてきたことです。ソウルという都市の哲学、都市文明の発展と衰退、市民の参加と協力というテーマの進展のため、絶えず努力していきます。こんなことを考えていると、また胸がときめきます。

         そこに住む人のために建物を建てる建築家がソウル市公務員に講義を行うように、私はソウルの城郭を歩いて回り、ヘリコプターに乗ってソウルを眺めます。

         日本に行ったら他のものも見てこようとは思っていますが、特に都市の興亡と衰退の原因と代案について、より深く勉強してきます。

         ソウル市は、変化の時計を止めることはないでしょう。目立つように騒がなくてもいつも動いています。時代が求め、市民が希望する新しい変化を水面下で、新しい時代のためにより大きな波動を準備していきます。

         立春が過ぎました。農業を始める時期です。誰も見ていなくても、黙々と畑を耕して種をまき、自分の仕事をこなす農家の人々の気持ちは尊いものです。私にもそれが理解できる気がします。私はそんな気持ちで働きます。

         かゆい所に手が届くような政策をひとつ出したことがあります。その政策が予想を覆して、ソウル市長就任100日間で一番良かったことに選ばれました。「ランチタイムの小規模飲食店前の駐車場取り締まり緩和」です。こんな時は、「感動しました」と表現しなければならないようです。そのことに気付いた気持ちが有難かったのです。我々が頑張ったのではなく、このように隣人に気を遣えるソウル市民に感謝したからです。小さいながらも、困った人や隣人の世話をする温かな市民が、むしろ私に勇気を与えてくれます。皆さんが選んだソウル市が、「自分の暮らしを変えてくれる良い友達」になれたらいいと思っています。

         ご精読ありがとうございました。

         2012年2月の夜更け 朴元淳より