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  • 子ども・青少年の人権強化3カ年総合計画

    SMG 1852
  • ソウル市は市の人口の約18%(180万2931人)を占める子どもと青少年の政策参加と実質的な人権保障に向けた「子ども・青少年人権保護3カ年総合計画」を発表しました。国連の児童の権利に関する条約と2012年に制定された「ソウル市子ども・青少年人権条例」などで定められた内容を具体的な政策・事業に発展させたものです。

    国連の児童の権利に関する条約の基本権利である生存・保護・発達・参加権を中心に、子どもと青少年の人権に対する政府の関心は徐々に高まっているものの、これまで子どもと青少年の人権に関する総合的かつ体系的な現状分析と、これに基づく中長期計画がなく、子どもと青少年の人権保障に向けた具体的な政策と事業開発は実施されてきませんでした。

    これまでの子ども・青少年政策は「保護」と「問題解決」が中心でしたが、「参加」と「自己主導的参加」へと観点を転換し、家出や学校外、労働、障害・貧困・多文化などの状況に置かれた疎外階層(少数者)など、人権が保護されにくい子どもと青少年をしっかり把握し、具体的な政策を策定しました。

    100人の「青少年参加委員会」を構成して政策策定過程に直接参加してもらうほか、今年初めから制度の圏外にある非認可の教育機関38カ所で給食費無料化を開始しました。また、労働福祉センター4カ所に「アルバイト青(少)年権利保護センター」を設置し、賃金不払や無報酬での超過勤務、業務上傷害などへの権利救済について案内を受けられるようにしました。さらに、幼稚園や保育園、児童福祉施設などに合った「子ども・青少年人権教育講師」40人を初めて養成・派遣し、既存の市民人権保護官の中の1人を「子ども・青少年人権保護官」に指定しました。

    今回の計画は、向こう3年間(2014~16年)の青写真で、ソウル市は条例に従って3年単位で実践総合計画を継続的に策定し、中長期的な道筋を提示していく計画です。総合計画は「子どもと青少年が参加する人権都市ソウル」を政策ビジョンとし、▲主導と参加の実現 ▲積極的な人権保障の推進 ▲人権優先の生活環境づくり、の3大政策目標の下、12の推進課題と31の細部実行課題で構成されています。

    1.子ども・青少年の主導と参加の実現

    子どもと青少年を政策の受け手から政策の意思決定権者へとパラダイムを転換させ、政策の提案・決定や策定、予算編成など全ての政策過程に積極的に参加できるシステム体制を構築しました。ソウル市の児童人権実態調査(2012)の結果によると、子どもや青少年がソウル市の政策推進過程に意見を提示したのは5.3%と、非常に低い水準であることがわかりました。

    これを解決するための中核機関として、100人の「子ども・青少年参加委員会」を自治区・青少年施設での推薦と公募を通じて4月に構成しました。▲運営 ▲権利 ▲教育 ▲文化 ▲安全福祉 ▲広報の6分科に分けて運営され、四半期ごとの定期会議と臨時会を通じて政策を提案してもらうことにしました。

    同委員会は「子ども・青少年人権ファスティバル」を2014年10月にソウル広場で開催し、11月にはパク・ウォンスン(朴元淳)市長と100人の子ども・青少年委員が「希望総会」を開き、正式にソウル市に政策を提案する場が設けられる予定です。また、住民が参加しての予算委員会への子どもと青少年の参加を今年の5人から2015年には参加市民全体の10%に当たる25人に増やし、2016年には子ども・青少年に関する主要政策を推進する際は対象者に直接意見を聞く事前投票制を実施し、積極的に反映させる方針です。現在、運営方式を検討中です。

    2.子ども・青少年の積極的な人権保障の推進

    住居や教育への不安や不合理な労働、社会的偏見、児童虐待などから子ども・青少年の人権を守る政策を積極的に展開します。特に、人権保障が切実な▲家出した子ども・青少年を保護する地域社会セーフティネットの構築 ▲学校の外での子ども・青少年の教育・文化・福祉権の保障 ▲青少年の労働人権保障体制の構築 ▲少数者の実態調査及び人権ガイドラインの策定 ▲児童虐待及び事故防止を優先的に推進します。

    家出:短時間・24時間憩いの場所などを2016年までに17カ所に拡大 就職・進学を統合支援

    家出した子ども・青少年については、「レッテルを貼られている」と思うことなく衣食住を解決できる安全な憩いの場所や雇用、職業技術、進学支援など、自立に向けた統合サービスを実施します。警察庁の資料によると、家出する子どもや青少年は、全国で2005年の1万3千人から2012年は2万9千人と2倍以上増加しています。

    最長9カ月まで寝泊りできる短期の宿泊所を2013年の5カ所から2016年までに7カ所に増やし、干渉・規制を最小限に抑えた24時間運営のカフェ型の憩いの場を新たに開発・設置する計画です。また、短時間休める移動式の憩いの場(バス)も今年4台に増やすなど、2016年までに計17カ所に拡大します。

    職業体験や就職技術訓練、進学支援など自立に向けた統合サービスは、各自治体の25の青少年相談福祉センターを活用し、このうち特化プログラム「ノックゾーン」を運営するセンターも今年中に7カ所から8カ所に増やしました。

    学校の外:非認可教育機関38カ所の給食費無償化を初めて実施 2016年には文化バウチャーを提供

    ソウル市は、学校に通っていないか非認可の教育機関に通っていて制度圏外にある子ども・青少年を対象に、「学校外子ども・青少年支援策」を推進します。ソウル市が把握する対象者の子ども・青少年は2012年時点で1万7924人で、在学生の1.5%を占めています。

    非認可の教育機関支援策により、今年初めてソウル市内の38の教育機関の小中高校生約500人に一般の制度圏と同様の給食費の無償化が開始され、2016年までにこれを42カ所に拡大する計画です。教師の人件費などの教育費も学校の実情に合わせて基準を定めて支援しています。

    学校に通っていない子どや青少年については、2016年までに低所得層の学校に通えない子ども・青少年に公演・展示・映画観覧などができる文化バウチャーなどを支援するほか、子ども支援センターと連携して子どもたちの特性に合ったカウンセリング・治療を提供するなど、学校に通っていない子どもや青少年にも差別なく教育・文化・福祉を享受する権利を与える計画です。

    青少年の労働人権保障:「アルバイト青少年権利保護センター」を4カ所設置

    ソウル市は、働く青少年の労働権を保護し、快適で安全な労働環境づくり、労働人権が侵害された際の救済方法と手続きに関する相談・案内システムを強化します。

    そのために、まず労働基準法や最低賃金法、青少年保護法など労働関係法上の労働条件の規定がわかりやすく整理された「青少年労働権利手帳」を今年中に1万4500部制作し、青少年と事業主に配布しました。これには勤労契約書の作成や労働時間(休日、休憩時間)、賃金(最低賃金、時間外労働手当て・夜勤手当てといった各種手当て、退職金、賃金滞納の解決策など)、不当解雇の解決策といった内容が盛り込まれていますす。

    また、ソウル市の4つの労働福祉センター(西大門区、九老区、城東区、蘆原区)に「アルバイト青少年権利保護センター」を今年に設置し、権利救済方法などについて案内しています。

    今年下半期には「アルバイトしやすい町づくり」も推進します。アルバイトを雇う事業所が多く、多様な地域市民社会の力量を引き出せる地域を選定し、集中的に指導点検や模範事業所を対象にした無料労務相談といった報奨を提供することで、アルバイトしやすい環境づくりを目指す計画です。

    少数者:今年中に分野別・機関別実態調査→2015年までに施設人権ガイドラインを策定

    ソウル市は、働く青少年及び障害や貧困、多文化といった状況に置かれた少数者(疎外階層)の人権政策の策定に向け、人権弱者の正確な実態・現状を把握し、具体的な政策根拠を設定する計画です。

    まず、今年中に憩いの場や児童生活施設、グループホーム、青少年修練機関など、機関別・分野別に具体的な人権実態調査を実施し、それを根拠として2015年に子ども・青少年関連施設の人権ガイドラインを策定、人権優先の施設環境を構築します。

    児童虐待:公共機関の積極的な初期介入+加害者両親地域センターが継続的に管理

    児童虐待については、児童保護専門機関である「ソウル市児童虐待予防センター」を総合コントロールタワーとするとともに、民間が運営する地域の児童虐待予防センターを「事例管理中心センター」に特化し、有機的に連携、虐待の再発予防に注力します。

    ソウル市の児童虐待予防センターが24時間体制で児童虐待に関する通報を受付けます(1577-1391、129、119)。初期介入や現場調査、事例判定などを総括担当し、民間が運営する地域センターは加害・被害児童の治療・事後管理を担当するシステムで運営されます。

    ソウル市は現在7カ所の地域の児童虐待予防センターを2016年までに9カ所に拡大すると同時に、被害児童の緊急救護に向けた臨時保護施設である専門グループホームは2016年の1カ所から2カ所に拡大・運営されます。

    3.子ども・青少年人権優先の生活環境づくり

    当事者である子どもや青少年にも馴染みの薄い人権を当然の権利として認識・行使できるよう ▲人権教育の強化 ▲人権条例及び人権課題の広報 ▲人権保障インフラの点検及び見直し ▲余暇文化施設の造成とプログラムの開発を推進します。

    ソウル市の児童人権実態調査(2012)の結果によると、当事者らの権利への認識と児童の権利に関する条約への認識が低く、大人たちが児童の権利を尊重するという認識も23.6%と低いことがわかりました。また、子ども・青少年施設の機関長や従事者を対象にした子どもや青少年の人権教育が実施されていないほか、児童虐待の83.1%が家庭で両親によって発生しており、子ども・青少年施設などは人権の死角地帯として社会問題になっているのが実情です。

    子ども・青少年人権教育講師40人を初めて養成 人権条例漫画を制作・配布

    子ども・青少年に直接向き合うソウル市の子ども・青少年施設約7千カ所、約5万2千人の社会福祉士や青少年指導士、保育士らを対象とした「人権教育研修」が義務化され、今年から施行されています。また、幼稚園や保育園、児童福祉施設などに適した「子ども青少年人権教育講師」を毎年約40人養成する計画です。

    児童の権利に関する条約といった国際条約やソウル市の子ども・青少年人権条例を漫画(カトゥーン/アニメ)やわかりやすい様々な媒体に開発し、家庭と地域社会で子ども・青少年尊重文化が定着するよう、関連法と制度の広報に注力していく計画です。

    子ども・青少年専門市民人権保護官を初めて任命 憩いのカフェを75カ所に拡大

    ソウル市は、地方自治体としては初めて市政遂行過程で発生する子どもや青少年の人権侵害事項を独自に調査・勧告する「子ども青少年専門市民人権保護官」を任命します。現在、任命されている市民人権保護官3人の中から1人を担当とし、市民人権保護官を2016年までに5人に増やします。

    同保護官が調査できる範囲は、ソウル市及び所属の行政機関、ソウル市が出資・拠出して設立した機関、自治区(委任事務)、ソウル市の事務委託機関、ソウル市の支援を受けている各種子ども青少年施設などで業務遂行に伴って発生する人権侵害事項です。

    ソウル市は、「青少年のヒュ(休)カフェ」を2016年までに31カ所から75カ所に拡大する一方、青少年が同好会や小規模の集いといった自治活動を行う場合、ソウル市所在の青少年施設を無料で貸し出す方針です。最後に、教育庁と有機的な連携・協力体制を構築し、学校でも地域社会でも区切りなく人権保障がなされる町づくりを目指す計画です。