• 住まいは人権です

    SMG 322
  • ニュータウン・再開発問題収拾案に関する記者説明会

    月日:2012年1月30日
    会場:ソウル市庁西小門庁舎ブリーフィングルーム

    ソウル市民の皆様、本日私は悲壮な思いでここに来ました。市長就任以来、一番辛い気持ちでこの場に立ちました。

    本日は、再開発40年の歴史と、ソウルを投機ブームと工事現場で覆いつくしたニュータウン10年の歴史に区切りをつける日です。私たちは今、もつれた糸のように複雑化したニュータウン問題を解決すべき切羽詰った時期を迎えています。同時に、住宅地再生事業の新しい時代を切りひらくという約束と道筋を明確にすべき段階に来ています。

    ニュータウンと再開発を合わせると1300カ所以上。ソウルはごちゃごちゃになりました。なぜこうなってしまったのでしょうか。いったい誰のための、何のためのニュータウンだったのしょうか。その結果、私たちは何を失い、何を得たのでしょうか。

    まるで金の卵を産むガチョウのように、政治家は先を競って票を得ようとニュータウン指定を選挙公約に掲げました。地主と投機家、そして私たち一人ひとりが彼らを煽りました。一獲千金の期待を抱き、全国、特にソウル全体が投機ブームに巻き込まれました。これを適切に制御すべき地方自治体と政府は役割を果たせませんでした。今こそ、政界や行政、そして投機家など、私たちみんなが反省すべき時期です。

    振り返ってみると、過去40年間の整備事業は、「開発と成長」という理念の下、必然的な産物というにはあまりにも胸の痛む犠牲を要求してきました。社会的弱者、すなわち零細家主と借家人の住居権と生存権の犠牲を踏み台にしてきたのです。所有者と勝者だけが支配する構造でした。先祖代々あるいは長く近所同士で仲良く暮らしてきた人々を、古くて生活に不便だからといって町から追い出し、崖っぷちに立たせたのです。巨大資本と地主だけが主体となって施行された再開発ニュータウン事業により、零細家主や借家人はより劣悪な地域を探してあちこち歩き回らなければなりませんでした。それだけではありません。各事業の段階ごとに同意書を求める過程や書面決議、総会開催といった事業施行の過程における非正常と不合理はすでに慢性的かつ固定化し、修正がきかない状況にまでなってしまいました。いわゆるOS要員を動員し、情報と判断能力が足りない組合員を懐柔したり、金品で買収したりしました。請負業者を動員し、行き場のない人を無視して強制撤去を行い、総会秩序を維持するという名目で威圧的な雰囲気をつくって自由な意思表示を阻むなど、列挙することも難しい問題が潜むようになりました。

    こうしたニュータウン整備事業を通じて私たちが失ったものと得たものは何でしょうか。投機家と投機資本に追い出された住民たちは都市難民となりました。町のコミュニティは解体し、町の商圏は跡形もなく消えました。庶民が住める安い住宅がなくなることで、周辺地域の家賃は暴騰しました。結局、「マンション共和国」という汚名を得るために、私たちは多くの価値を根本から破壊し、かき消してしまったのです。それが成長だと信じていました。貪欲のためだったのです。

    私は市長に就任してから3カ月間、ソウル市内をくまなく視察して回りました。目を疑うような場面を多く目撃しました。イムン(里門)洞再開発地区の祖父母が孫を育てる家庭、ヨンドゥンポ(永登浦)区ムンレ(文来)洞、タプシムニ(踏十里)洞の古い住宅街、横たわることすらできないほど狭い部屋で暮らす人々。社会が関心を持って面倒を見るべき多くの人がいました。それなのに、彼らはニュータウン・再開発によってもうすぐ追い出される立場にあります。どこへ行けばよいのか、彼らにも私にもわかりません。できることなら、全てを元に戻したい思いです。

    敬愛なるソウル市民の皆様。これまで大きな痛みを味わってこられたことでしょうか。ニュータウン再開発によって苦しんでいる市民の皆様に対し、市政の責任者として心より深くお詫び申し上げます。

    深く悩み考えました。しかし、法的な限界がありました。各界各層の多くの方に会って話を聞いたり、諮問を受けたりしました。私たちができる範囲で全力を尽くして最大限の策を探りました。しかし、みんなが満足できる解決策を見出すことはできませんでした。遺憾であり、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

    しかし、これで終わりではありません。これからが本当の始まりです。ニュータウン再開発による痛みと苦しみが消える時まで、あらゆる手段と方法を駆使して解決策を模索してまいります。

    私にとってこの3カ月は3年のように感じられました。多くの人との対話と傾聴を通じて実状を把握し、政府と国会を説得して制度をつくり、それを土台に収拾案を模索してきました。様々な声を聞きました。賛成派と反対派、そして区長にもお会いしました。昨年末に収拾のための法的な土台づくりをしたことが、不十分な中でも慰めになったと思います。

    ソウル市はニュータウン・再開発問題を収拾する大きな枠組みと方向性をこのように決めました。まず、実態調査と並行して対立関係の調停を実施し、地域の実情に明るい区長と責任を共有しながら役割を分担して問題を収拾していきます。ニュータウン再開発を継続するか解除するかの判断において、住民の意見をできるだけ尊重します。

    これまで進められてきたニュータウン再開発事業は、正確な情報、すなわち個別分担金がどの程度になるのかという明確な情報提供もないまま事業に同意した側面があります。まずは客観的な調査機関を通じて正確な実態調査を実施します。その対象は、現在の予定区域段階から組合が設立されている区域までの610区域です。対立関係や実態調査の過程で発生する対立を調停する対象は、施行中のすべての区域866カ所を対象とします。実態調査は市長と区長が分けて実施します。推進主体の有無と責任・権限によって役割分担を行います。実態調査にともなう手続きは、透明で正確な実態調査と客観的で合理的な意見の取りまとめを経て進め方を決定します。実態調査の結果を十分に公示した上で、住民の多数が望めば継続します。

    行政支援と制度改善を通じて推進できるようにします。この過程で公共管理制度を拡大するだけでなく、必ず零細家主や借家人への対応も強化されるよう制度を改善していきます。継続的に推進する地域でも借家人の住居権は絶対保障されなければなりません。法的に借家人対応の対象とならず、これまで対応から除外されていた生活保護者には公共賃貸住宅を供給する予定です。賃貸料は永久賃貸マンションの水準とします。借家人がまた地元に帰って暮らせるように、まず移住する際には近隣の再開発の空き家に入居させ、事業が終われば元の地域にある賃貸住宅に戻って暮らせるシステムを構築します。また、冬季など悪天候の多い時期は移住と撤去を禁止します。これまでニュータウン再開発事業の過程で無視されてきた零細家主や借家人の意見を事業計画に反映させます。多数が望まなければニュータウンは解除します。その地域は住民が希望すれば、共同体が維持されるまちづくり事業などに切り替えて市が支援・推進します。解除地域は代案となる事業を推進できます。共同利用施設などその地域のインフラ整備を支援して家の修理費を融資するなど、まちづくりと小規模整備事業に対する行政支援を惜しみません。

    全過程で葛藤管理を実施します。実態調査や住民意見の取りまとめ、区域解除の是非などを決める過程で発生する葛藤については、住居再生支援センターを設置して調停案を提示します。葛藤調停委員会はすでに運営されています。

    しかし、今この瞬間にも、言葉で表現できないほど大きな限界と物足りなさを感じています。組合解散にともなう費用処理問題は、いまだに支援の規定がありません。それにともなう新たな葛藤が予想されますが、今はどうすることもできず残念です。最も責任の重い政界や政府はすべての費用を地方自治体に押し付けています。最も不十分な店舗・住居借家人への対応もまだ道のりは遠いです。

    私はソウル市の首長として政界と政府に強く求めます。政界と政府は私たちとともに責任を感じなければなりません。政界と政府は地方自治体と必要な財源を共同で分担しなければなりません。政界と政府は様々な代案モデルを共同で開発しなければなりません。特に、昨年末に改正した関連法の不十分な部分も、政府と国会が積極的に早期に解決していく必要があります。

    また、借家人の意見が区域指定や事業計画策定の段階で反映されるよう、当事者に参加する機会を保障しなければなりません。店舗入居者に対しては生計が脅かされないよう、実質的な補償がなされなければなりません。推進主体が解散する場合には、彼らが使った一部の費用の補助を地方自治体だけに押し付けるのでなく、中央政府も相当部分を分担してしかるべきです。このような要求を政府と大統領に建議します。まだ不十分な部分もソウル市主導で改善し、新しい国会が始まる5月までに改正案を準備して国会に協力を要請していきます。

    ソウル市は「住まいは人権だ」を宣言します。従来の投資家を中心とする、開発利益の視点に立ったニュータウン再開発を、居住者を中心とする人間の視点に立ったものへと方向転換します。

    全面撤去を要求する住宅供給中心の政策はもうソウル市では採択しません。人間を中心とする住居地管理と共同体回復がその根幹となるでしょう。全てに優先して「人」を尊重する政策を立案・施行してまいります。このような状況に至らせた原因提供者であるソウル市はもとより、自治区や政府、政界、建設会社、施行会社、組合など全てが共同責任者として市民に謝罪し、深く反省しなければなりません。そして問題の収拾に向けて共に努力していかなければなりません。

    再度申し上げます。私が市長として在職している限り、これまでのような全面撤去方式の事業慣行を完全に変え、豊かな人と貧しい人、過去と現在が調和でき、共同体のエコシステムが維持された持続可能な住宅地になるような方式で再生できるよう取り組んでまいります。

    私が市長として在職している限り、冬のある晩突然撤去が強行され、庶民が涙を流すことのないようにします。私が市長として在職している限り、今後新たに指定されるニュータウンはもうありません。ありがとうございました。